ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 殺し屋・殺愛、此処に見参————。 ( No.8 )
日時: 2009/12/03 17:17
名前: 雷 (ID: 6.Riuk1k)

二話:鈴橋 愛


鈴橋愛。

私の仮名……といったところだろうか。

殺愛、なんてそのまま使ったら、琴吹達にはすぐ、バレてしまう。

琴吹と、透恋は勘が良いし、殺し屋について調べてるから、殺し屋の店主の名前が“殺愛”という事位は知っているだろうし。

「ねぇーっ! 愛、明日空いてるー?」

「どうしたの、透恋」

翌日。

教室に入ると、またもや透恋が私に飛び付いてきた。

「あのね、あのねっ。 明日、柚斗と一緒にお買い物行くのっ。それで、愛も一緒に行けないかなー、と思って」

「あー。ごめんね。明日はちょっと……。また、今度、誘ってくれる?」

「そっか。残念ー」

透恋は、そう言って私の席から離れた。

明日は休日。

殺し屋の仕事は夜にやるし、休みの日位、ゆっくり寝たいものだ。

透恋達には悪いけど。

「鈴橋ってさー。以外に可愛いよな」

こんな事を耳にする事もある。

ただ、私は鈴橋愛という名前が好きじゃない。

皆に嘘を付いている様な……。

そんな罪悪感に呑まれそうになるから。

大体、私は可愛くなんか無い。

ほぼ、毎日のように、この手を血で染めているのだから。

鈴橋愛、なんて名前はただの思い付きだし……。

でも、この名前でいる時はなんだか違う私でいれる様な気がして、

多少の幸せも感じる。

殺し屋の殺愛とは、また違う私————。


二話:鈴橋 愛 [終]