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Re:  ——夜雨* ( No.3 )
日時: 2009/11/10 20:50
名前: ふう汰 ◆mNK3Jwf.Lk (ID: msPhCitR)

 一雨


10年前*

「りか、ず〜っとけんとの隣にいる!」
「おれもりかの隣にいるー!」

保育園のとき、俺等は約束した。
ずっと、 一生
傍にいることを——


現在*

「あ、健人!」
「おぉ梨花」
「傘持ってきなよ・・・濡れるでしょ!折りたたみは?」
「折りたたみも何も持ってねぇよ」
「おばかさんだな」

雨が降っている。
俺は今日、天気予報で晴れと聞いたのだが
はずれた天気に不満中。
天気予報は、あてにならないな。

「今日ね、愛実が武田君と一緒に買い物行くんだって」
「・・・」
「いいなぁ〜 私も行きたかった」
「行けばいいのに・・・」
「・・・うるさい」

幼馴染だから、こういう会話は慣れている。
周りの人からは、きっとカップルだと思うだろう。
俺はそう思われたい。

「じゃあ聞くよっ!」
「何・・・」

ついそっけなくとってしまう態度

「私が死んでもいいわけ?」
「ダメだよ」

でも、正直なところはある

「よかった」
「ていうか、そんな縁起の悪いこと聞くな」
「・・・はーい」


     ———死

この世でもっとも恐ろしいこと。
この世でもっとも悲しいこと。

誰もが恐れている 死 。

俺も、死ぬのは怖い

「ほら、梨花。家着いたぞ」
「・・・うん、ばいばい」
「じゃあな」

いつのまにか家に着いてしまった。
俺等の家はお向かいさん。
俺の部屋からの向こうには、梨花の部屋がある。

・・・今日は雨だから
星が見えなさそうだ。