ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ワンボーイ〜1話・2話更新♪ ( No.10 )
- 日時: 2009/11/20 16:08
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯3 保険会社‘セーモ’
優と美保を乗せた車は、大通りをひたすら走っていた。
「ねぇ。どこに行ってるの?」
「君らは能力者だ。もう普通の生活には戻れない。」
ルパートの言葉に、2人は首をかしげる。
運転をしている女性は深くため息をついた。
「どういう・・・ことですか・・・・?」
「君らは今、死んだ。」
「は?」
ルパートの言葉がいまいち分からない優と美保。
「能力者は普通の生活にはいられない。君らは世間で死んだことにする。」
「ちょ、ちょ、待ってよ!!」
優はルパートの顔を見つめる。
「そんな、意味分かんないよ。てか、この力、どうすれば元に戻るの?」
「戻らない。君たちは選ばれたんだよ?なんで喜ばない?」
「待ちなさい!!ルパート。」
運転をしていた女性が突然叫ぶ。
「な、なんだよ・・・・」
「この子たちはまだ学生よ?しかも純粋な。あなたとは違うの!!」
女性が怒鳴るとルパートは窓の方を向き腕を組んだ。
「ごめんなさい。私はマリー・ジブリール。もう少しで着くからそれまで待って。」
ジブリールはそう言うと、笑顔を二人に見せた。
2人はうなずき、もやもやの気持ちのまま行先まで口を閉じた。
**********
走ること20分.....
ジブリール、ルパート、優、美保を乗せた車は停止した。
「着いたよ。降りて。」
2人が車を降りると、目の前には10階建のビルが建っていた。
「ここは?」
「保険会社‘セーモ’。知ってる?」
優はその言葉でテレビのコマーシャルを思い出した。
『保険会社‘セーモ’はあなたの命を保証します』
その言葉がよくコマーシャルで流れている。
「でも、ここに何で来たんですか?」
「ここが本部だ。行くぞ。」
ルパートはそう言うと、足早にビル内へと入って行った。
「本部・・・・?」
優と美保は顔を見合わせ、疑問を抱いたままビルへと足を進めた。
1階に入ると、ロビーには2人の受付嬢。近くにあったソファーには男性が5人座っている。
「こっちよ。」
ジブリールは2人を連れてエレベーターへと入る。
「ここは保険会社だけど、また違う会社を演じているの。」
ジブリールはそう言いながら‘地下5階’のボタンを押した。
「違う・・・・会社・・・・?」
「ここは能力者を助け、支援する会社でもあるの。」
ジブリールが言葉を言い終わった瞬間に、エレベーターの扉が開く。
目の前に赤いレッドカーペットが敷いてある廊下が広がる。
「いまからこの会社の社長に会うから、ちゃんとしててね。」
「はい。」
優と美保は頷き、廊下を歩く。
一番奥にある扉のまでジブリールは止まり、ノックを2階した。
「社長。連れてまいりました。」
ジブリールはそう言うと、扉をゆっくりと開けた。
そして、今、優と美保の人生が変わろうとしていた____