ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ワンボーイ〜3話更新♪ ( No.11 )
- 日時: 2009/11/22 20:29
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯4 変わる人生
「失礼します。」
ジブリールと優と美保は社長室へと足を入れた。
「ようこそ。保険会社‘セーモ’へ。」
社長室に入った瞬間に男性の声が聞こえた。
3人の目の前には年配の体つきの良い男性とその左右に若い男性が2人。
「やあ、よく来たね。」
年配の男性は立ち上がり、笑顔で優と美保を見る。
「こ、こんにちは・・・・」
「私はこの会社の社長、ターナー・ウィングフィールドだ。ジブリール、この子たちもか?」
「はい。すでに能力は覚醒しております。」
ジブリールは社長にそう言うと、2人を見た。
「神宮優君は発火能力、桜井美保ちゃんは・・・・」
ジブリールはなぜか言葉を詰まらせる。
「ん?なんだね?」
「いや、その。もしかしたら、この子の能力は・・」
ジブリールは社長をチラリと見る。
すると、社長は笑顔でうなずき2人の方を見た。
「そうか。それは後だ。とりあえず、君たちは色々突然な事が起きすぎて驚いてるだろう。今日は家に帰りなさい。」
社長がそう言うと、ジブリールは驚いた顔をした。
「かえしていいのですか!?」
「まだ学生じゃないか。スタンリーの時は別だ。」
社長は左右にいた男性二人にアイコンタクトを取る。
「マイケル、ホワイト。この子たちの親に電話して適当に事情を作って伝えなさい。」
「了解しました。」
2人は一礼をして社長室から出て行った。
「ジブリール。お送りしなさい。2人はまた明日来るといい、すべてをはなしてあげるよ。」
社長は笑顔で言う。
ジブリールは一礼をして社長室から出た。
2人も礼をして社長室を後にした。
**********
保険会社‘セーモ’ 10階
〔特別室〕と書かれたドアの向こうに3人程度の人間がいた。
「まぁ〜た、能力者いたのかルパート?」
スーツに似合わないアフロにサングラスをした男性が窓際に立つルパートに言う。
「あぁ。まだ学生だよ。それより、そのウザい髪型どうにかしろ。」
「それは無理だぜ。この俺、フレッカー・ゴールドバーグにはこの正装が必要だ!!」
「うるさいよ。黙れ。」
フレッカーの隣いる全身黒色の服を着た女性が言う。
「なんだよ、アディ。」
アディ・アロースミスはフレッカーの顔をチラリと見ると口を閉じた。
3人がブツブツと話していると、ドアが突然開いた。
「任務だ。東京の高速道でトラックの炎上事故があった。」
入ってきたのは社長の側近、マイケル・オルコット。
「それのどこが任務?」
「目撃者の証言で、炎上の起き方がトラックの荷台だったらしいが、燃える素材や燃える火だねも何もない。もしかしたら発火能力を持った能力者がやったかもしれない。」
マイケルのその言葉で、ルパートの顔つきが変わった。
「発火能力・・・・?」
「優君ではない。とりあえず行くぞ。」
マイケルが言うと、全員は現場へと向かって行った。
**********
保険会社を後にした優と美保はジブリールが運転する車で自宅へと戻っていた。
辺りはもう暗く、東京の街はネオンで輝いていた。
「今日は御免なさいね。突然色々起きて大変だったでしょう?」
「いや、そんなに。でも、これってどうすればいいんですか?」
優がそう言うとジブリールは真剣な顔つきになった。
「その力は絶対にほかの場所で誰にも見せないで。たとえ、家族だろうが親友だろうが。」
優と美保はその言葉で自分の立場がどういうもの何か実感する。
「それと、今日はスタンリーがあんなこと言ってごめんなさい。普通の生活はずっと続く。死んだことに何かしないよ。」
「いや。それはいいんですけど。ルパートさんって、過去に何かあったんですか?」
美保が聞くと、ジブリールが少し悲しそうな顔をする。
「ルパートはちょうど、あなた達と同じぐらいの歳に能力に覚醒したんだけど、その時ある事件も同時に起こった。」
「ある事件?」
優と美保が首を傾げると、ジブリールはすべてを話した。
「ルパートは家で自分の能力を使っている途中、親に見つかって、見つかった時の恐怖と絶望感が能力を暴走させてしまった。そして、ルパートは自分の家ごと両親を殺した。実際は火事ということで世間には知らされたけど・・・。ルパートはそれから自分の二の舞にならないように、特に子供の能力者には厳しく言うの。ごめんね。」
優と美保はルパートの過去を聞き、少し気持ちが分かるような気がした。
「そんな過去が・・・・」
「もう着くよ。今日のことは忘れて、また明日を楽しみなさい。」
ジブリールがそう言うと、2人は窓の外を見る。
この日、2人の人生は大きく変わった_____