ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 〜ワンボーイ〜7話更新♪オリキャラ募集中♪ ( No.21 )
日時: 2009/12/04 22:29
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

♯8    傘橋栄治と田中丸吉

現在 10月21日  午前11時30分

帝国中学校A棟は無残にも瓦礫の山となり姿を変えていた。
「うっ・・・うぅ・・・・」
ガラガラと音をたて、優が気絶した美保を抱えて瓦礫から出てきた。
「痛って・・・・・。」
優は美保を優しく地面に置くと、その場に座り込む。
周りは瓦礫となり、所々に机や椅子などの学校用具が無残に転がっている。
「なんだよ・・・一体・・・・・」
優は立ち上がり、周りを見わたす。
零原や赤薔薇がいない。手を途中までつないでいたが・・・。
「生きていることを信じよう・・・」
優は弱々しく言うと美保が横たわっている隣に座る。
「美保・・・・」

「お前らが生きていたか。」

優の後ろから突然男の声が聞こえた。
優は慌てて後ろを振り向く。
後にはジーパンに黒いTシャツを着た傘橋栄治。
栄治と似たような格好をした田中丸吉の二人が立っていた。
「栄治の思い通りだな。この二人も能力者?」
「たぶんな。そうだろ?」
栄治は優に問いかける。
「二人も・・・?」
「俺らも能力者だ。」
栄治はそう言うと、左手を前に出し炎の球を出す。
丸吉は転がっている石を拾い上げ、一瞬で砂にしてしまった。
優は栄治の能力を見て唖然とした。
「そ、そんな・・・・」
「お前ら、保険会社から出てきてたろ?俺らはあそこに復讐したい。そのためにお前らを人質に使う。」
「ひ、人質!?」
優は栄治のその言葉を聞いて目を丸くした。
「あぁ。お前らみたいな子供があんな所に入るなんて能力関係だろ?もちろん、あのアフロ野郎とも知り合いだと思う。」
優はアフロ野郎という言葉を聞いて思い出す。
‘四大天使のフレッカー・ゴールドバーグ’
「何で?復讐ってなんだよ・・・?」
「あいつらに殺されかけた。俺にとっても、丸吉にとってもプライドに傷をつけられたんだよ。それが許せない。」
栄治はそう言うと、片手を優と美保に向ける。
「殺されたくなければついて来い。」
栄治の言葉を聞き、優は美保を見る。
今は何もできない。優は唇を噛みしめる。
「どっちだ?早くしろ。」
「・・・分かったよ。どうすればいいの?」
優が聞くと、栄治はニヤリと笑う。
「とりあえず、保険会社‘セーモ’に乗り込み全員殺して海外に逃亡する。」
栄治はそう言うと、丸吉にアイコンタクトを取る。
「お前らは能力何だ?」
丸吉が聞くと、優は左手を出して炎の球を作る。
栄治はその姿を見て呆然とした。
「俺と一緒か・・・。その娘は何を使える?」
「背中から羽根を生やして飛べる・・・」
「飛行能力かぁ。いいねぇ。」
栄治は大声で笑う。優はその姿を見て悔しがる。
「お前らは信用できないからな。とりあえず石の手錠で手を縛る。」
丸吉はそう言うと転がっている石を砂に変え、優の手に自分の両手をつける。
「ロック。」
丸吉がそう言うと、砂は優の手にまとわりつき、石に変化して手錠となった。
優は外れるかどうか確かめたがビクともしない。
「さぁ、行こうか。丸吉、娘を抱えろ。お前は歩いてい来い。」
栄治は優にそう言うと、瓦礫の上を歩き始める。
その時。

ガシッ!!

栄治の足首を瓦礫の中から出てきた手が突然掴む。
「なっ!?」
栄治は驚き、その場へと倒れこむ。
瓦礫の中からボロボロとなった零原大和が飛び出した。
「話は全部聞いたぞ・・・能力って・・・・」
威勢良く零原は飛び出してきたが、聞いていた話の内容が理解できてない。
「ただのガキか・・・。消えろ。」
栄治は零原の顔を蹴り上げる。
零原は1メートルぐらい後ろに吹っ飛び、地面にたたきつけられた。
「零原!!」
「行くぞ!!警察が来る!!」
栄治の言う通り、遠くからパトカーや消防車、救急車の音が聞こえる。
「走れ!!」
栄治は優を抱え、丸吉は美保を抱えてその場から走り去った。

**********

帝国中学校 A棟前 プール

ブクブクッ・・・・

「ぶへぁぁぁぁ!!!!」
プールの中から敦志と椎奈が息を荒げて飛び出してきた。
「ふ、ふざけんなや!!お前!!」
「わ、わたしは悪くないもん!!あんたでしょ!?」
二人は言い争いをしながらプールから出る。
「ったく・・・・あれ?」
敦志は瓦礫の山と化した帝国中を見て唖然とする。
隣にいた椎奈もその光景を見て唖然とした。
「なにこれ・・・?」
「な、なにがあったんや・・・・」
敦志がそうつぶやいたその時だった。

「走れ!!」

プールの前を男二人が何かを抱えて走っていく。
「なにあいつら?」
「おいちょっと・・・あの抱えられてるの・・・」
敦志の目に、丸吉に抱えられている美保が見える。
「さ、桜井や!!連れ去られとる!!」
敦志はそう言うとその場からいきなり走り始める。
「ちょっと!!」
椎奈は敦志の後を慌てて追いかけた。