ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ワンボーイ〜8話更新♪オリキャラ募集中♪ ( No.22 )
- 日時: 2009/12/05 10:00
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯9 逃亡
帝国中学校隣 赤羽川
栄治と丸吉に抱えられた優と美保。美保はまだ目を覚まさない。
「車を用意している。それで保険会社まで行くぞ。丸吉、運転頼めるか?」
「ああ。いいよ。」
4人は赤羽川に架かっている未来橋の下まで歩く。
橋の下には白いワゴン車が止まっていた。
「ガキは後ろだ。」
栄治はトランクを開けると、優を車の中へと投げ込む。
「痛った!!」
優の上に美保が乗る。
「着くまでそこにいろ。」
栄治はそう言うと、トランクを閉めた。
「順調だな。この調子であの会社を壊してやる。」
「させるか!!!」
「あ?」
ドゴッ!!
突然の声と同時に、栄治は何者かに背中を蹴られ地面に派手にこけた。
「うがっ!!」
「な、なんだ!?」と丸吉は慌てて後ろを振り向く。
後には保険会社の制服を着た人間が何人もいた。
「傘橋栄治、田中丸吉!!また会ったな。」
フレッカーはアフロヘアーを触りながらニヤニヤと笑う。
栄治はすぐに立ち上がり、フレッカーを睨みつけた。
「てめぇ・・・・・」
「蹴ったのは俺じゃねえぜ。」
「なに?」
栄治の脇腹を何者かが蹴り上げる。
「うぐっ!!」
栄治は急いで後ろに下がる。
栄治の目の前には四大天使の一人、ホーキング・アズラエルがいた。
ホーキングはスーツ姿で軽々と動く。
「ふ・ざ・け・ん・な!!!!!!」
栄治は両手を前に出して激しい炎を噴射する。
しかし、ホーキングはその炎の下をくぐり抜け、栄治の後ろに回った。
「隙がありありですね♪」
ホーキングはそう言うと、両手を栄治の目につけた。
「フラッシュハンド。」
ホーキングの手からまばゆい黄金の光が起こる。
「ぎゃああああああ!!!!!!!!」
栄治は目を押さえながらその場へとうずくまる。
「え、栄治!!」
「お前の相手は我々だ」
丸吉の体の周りに白い煙が集まる。足元には白い液体が集まる。
「な、なんだよ!!」
気体と液体は徐々に人の姿となり、丸吉の目の前にマイケルとホワイトが現れた。
「の、能力者!!」
「お前もだろ。」
マイケルは冷静に言うと、丸吉の顔面を殴り、ホワイトは腹を蹴る。
「うぅ・・・・」
丸吉はワゴン車にたたきつけられ、そのまま気絶した。
「二人を確保しろ!!優君と美保ちゃんの安否も早く!!」
ルパートがそう言うと、ジブリールとアディ・アロースミスがワゴン車のトランクを開ける。
「優君!!美保ちゃん!!」
ジブリールとアディは2人をワゴン車から降ろした。
「優君。大丈夫?」
「ぼ、僕は大丈夫だけど。美保が気絶して・・・・」
「すぐに病院に行きましょう。」
ジブリールは優の手錠を外し、急いで違う車に急ぐ。
「ルパート。フレッカー。後はお願い。」
「おう。」
「任せとけ!!」
ルパートとフレッカーは親指を立てて言う。
優は美保を抱え、車に乗り込む。
アディが助手席に乗り、ジブリールは運転席に乗った。
「もう大丈夫だから。安心してね。」
ジブリールが笑顔で言う。
優はジブリールの笑顔を見て安心をした。
その時だった。
「優!!」
車の後ろか優の名前を呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと、敦志に椎奈。零原に肩を貸している赤薔薇もいる。
「みんな・・・生きてる・・・・」
優は車から飛び出し、4人に駆け寄った。
「敦志!!」
優は敦志に抱きつく。
「落ちた場所がプールで助かったんや。それより・・・・」
敦志は未来橋の下にいる保険会社のメンバーや栄治を見た。
「一体何があったんや?」
「それは明日テレビで見るといい。」
優の後ろにはいつの間にかアディがいた。
「優君。早く。」
「あ、はい・・・・」
「お、おい優。」
敦志は優の手首を掴む。
「何があったかは知らんけど、とりあえず、じゃな!」
敦志は笑顔で言う。
「うん。敦志も、みんなもバイバイ。」
優は笑顔で言うと、車に乗り込みその場を後にした。
**********
栄治、丸吉は両手両足を鎖で縛られ、保険会社のトラックで移動中だった。
栄治は小さな窓から見える瓦礫の山と化した帝国中学校を見て悔しがる。
「くっそ・・・・。」
鎖がジャラジャラとなる。丸吉はうつむいたまま動かない。
「丸吉、逃げる方法は考え付いたか?」
「むりだよ。栄治は?」
「鎖を熱で溶かしたいが、手をこんな状態にされてはな・・・・」
栄治はそう言いながら自分の両手を見る。
両手は能力が使えないようにしっかりとガードさせてある。
「どうすれば逃げれるんだ・・・・」
栄治が悲しげに言ったその時。
ドゴンッ!!!
トラックが謎の音で大きく傾く。
「おわ!!」
丸吉は態勢を崩してその場に倒れた。
「な、なんだ!?」
トラックは横に倒れ、そのまま車道のど真ん中で停止した。
2人は頭を強く打ち、意識が朦朧としている。
「事故か・・・?」
「なんだよ今の・・・・」
2人は立ち上がると、トラックのドアが開く。
2人は唖然とし、顔を合わせる。
「・・・・罠か何かかな?」
「分からん。」
栄治はゆっくりとトラックから飛び降りる。
目の前には青いきれいな海が広がっている。
辺りには車も町も何もない。
「なんでこんな所で事故を・・・・」
「事故じゃないよ。」
栄治の目の前に一人の青年が現れた。
栄治は驚き後ろに下がる。
「誰だ!!」
青年は青色の髪で瞳が黒く、左手には‘D’という変わったタトゥーをいれている。
「僕たちといっしょに来ませんか?傘橋栄治さんに田中丸吉さん。」
青年は笑顔で言う。
しかし、栄治と丸吉にはその言葉が分からない。
「な、なんのつもりだ。」
「世界を征服しましょう。我々、能力者テロリスト集団‘デミウルゴス’とともに。」
その時、栄治と丸吉に向かって冷たい風が吹いた。
**********
『帝国中学校謎の崩壊に炎上!!原因は手抜き工事。』
翌日にはテレビに新聞にそのような記事がびっしりと書かれていた。
優は東京県立白島病院の4階にいた。
美保はあれから元気になり。優の目の前でリンゴを食べている。
「優。あの人たちも能力者だったんだよね?」
「ああ。でも大丈夫だよ。あの人たちは能力者用の刑務所に収監するっていってたし。」
優は笑顔で言う。
「とりあえず。私たちの能力については敦志や椎奈に聞かれてないんでしょ?」
優は美保の言葉を聞いて、苦笑いをした。
「そ、そのことなんだけどさ、傘橋栄治って人が能力のことを話しているのを零原に聞かれたみたいで。」
「うっそ!!」
美保はベットから飛び起きる。
「でも大丈夫だよ。ジブリールさんがどうにかしてくれる。それより、問題なのは・・・・」
優はテレビを見る。
テレビには無残な姿となった帝国中学校が映る。
「学校はこれからどうするんだろ・・・」
「さぁ・・・。まだ中2なのに・・・・・・」
2人はため息をつき、とりあえず安心した。
が、これはまだ始まりに過ぎなかった・・・・。