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Re: 〜ワンボーイ〜11話更新♪第2章突入!! ( No.34 )
日時: 2009/12/12 21:55
名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)

♯13   『任務(前編)』

北海道札幌市に着いて数時間後・・・・・

優を乗せた車は一軒の家の前に止まった。
「ここが新しい家だ。」
裕次郎はそう言いながら車から出る。
恵と優も車から降り、家の前に移動した。
赤い屋根に二階建、東京に住んでいた家と作りは変わらない。
変わるものといえば、屋根に積もった雪。
北海道には雪が降り、道にも雪がかなり積もっている。
「すごいじゃん。父さん。」
「あなた、家はいいけど・・・仕事は?」
恵は裕次郎を見ながら問いかける。
「東京で勤めていた会社と同じ会社があってな、そこに転勤の形で配属されるよ。恵は?」
「私はパートでコツコツためるわ。」
二人は仕事の話をしながら歩調を家へと進める。
「優、引っ越しの手伝いをしてくれ。」
「分かった。」
優はそう言うと、新築の家へと走った。

**********

東京都 保険会社‘セーモ’前

ホワイト、フレッカー、ホーキングはスーツを着て何かをじっと待っていた。
「ったくよ・・・。傘橋の野郎、問題ばかり起こしやがって。」
「任務の時に殺しておけばよかったですね。」
フレッカーとホーキングはそろってため息をついた。
「まぁまぁ。それより、新人が来ましたよ。」
ホワイトはそう言いながら保険会社の玄関を見た。
すると、玄関から最近保険会社に入社してきたハワード・ヒッチコックが現れた。
「こ、こんにちは!!新入りのハワード・ヒッチコックです。」
ハワードは不安そうな顔をしながら会釈する。
「おう!!よろしくな。フレッカーだ。」
「ホーキングです。よろしく。」
「ホワイトだ。面接の時以来だね。」
4人は軽く自己紹介をし、それから先はホワイトが仕切り始めた。
「では、今回の任務の説明をします。」

“帝国中学校崩壊時に目撃された謎の男”

ホワイトが手にする資料にはそう書かれていた。
「それは・・・・初耳ですね・・・・」
ホーキングが不思議そうにホワイトに言う。
「えぇ。社長から止められていました。さて、詳しい説明なのですが、まずはこの写真を見てください。」
ホワイトはそう言うと、一枚の写真を3人に見せた。
写真には燃え盛る帝国中学校の廊下を写し取っている。
「これは?」
「監視カメラの映像を画像化したものです。それは傘橋栄治が学校を奇襲してから5分経った画像。」
ホワイトの言うことに間違いはないだろう。
写真の下に日付に時間が秒単位まではっきり残っている。
「けど、これになにがある?」
「問題はこの14分後。」
ホワイトはそう言うと、もう一枚の写真を取り出す。
さきほどと同じ燃え盛る廊下の写真。
「さっき変わんねぇじゃねえか。」
「お前の眼は節穴か。」
ホーキングがフレッカーに言う。
「おぅ!?なんだと?」
「ここを見ろ。」
ホーキングは燃え盛る廊下にある窓に指をさす。
「あ!」
フレッカーとハワードはそろえて声を出す。
窓の外に、黒い帽子に・・・スーツのような服を着た人物が写っている。
「避難者じゃねぇのか?」
「その視線で見ましたが、この人物がいる所は帝国中の裏側。避難者ではありません。それに、ただの不審者とも思えません。」
ホワイトは眉間に皺を寄せながら言う。
「これは僕が預かっておく。」
ホーキングはそう言うといきなり写真をホワイトの手から取る。
「お、おい・・・・」
「僕が調べる。こういうのは得意でね。」
ホーキングは写真を手に、会社の中へと戻って行った。
「へぇ〜。ホーキング先輩、強いだけじゃないんですね。」
ハワードがフレッカーとホワイトを見ながら言った。
しかし、2人は唖然としている。

今のホーキングの態度、なんだ?

2人は顔を合わせて頷く。
「ハワード。いっしょに来い。」
「へ?」
「ホーキングを追うぞ。」
3人は会社の中へと足を戻した。