ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ワンボーイ〜12&13話更新♪第2章突入!! ( No.39 )
- 日時: 2009/12/16 16:19
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯15 『任務(後編)』
「うっ・・・・」
ホーキングは痛む腹を押さえながら立ち上がった。
ここはどこだ?
その答えはすぐに分かった。社長室だ。
目の前には社長とホワイト。周りにはジブリール、フレッカー、ハワードにスタンリーがいる。
「ホーキング。どういうことだね?」
「僕は・・・違う・・・・」
社長はため息をついた。
「一つ聞こう。君は傘橋栄治らが逃げたことについて関与しているのか?」
「は?」
ホーキングはその言葉が意味分からなった。
すると、ホワイトが一歩前に出た。
「この際だ。全員に言う。傘橋栄治らが刑務所に行くルートは我々しかいない。社長は思いたくないが思っているんだよ。この中に、裏切り者がいると。」
そのホワイトの言葉に全員の顔が引き攣る。
「う、裏切り者!?」
「そうだ。ホーキング、君の行動はどうも怪しい。」
ホワイトはそう言うとホーキングを睨む。
「僕は違う!!だけど・・・あのDVDに映っている人物は知っている。」
ホワイトは語尾を小さくしながら言った。
「何?」
「まぁホワイト、聞いてやりなさい。」
社長が笑顔で言った。
ホーキングは社長に一礼をして、大きく深呼吸をした。
「あの人物は・・・・・・」
ホーキングの動きがなぜか止まる。
「・・・?なんだ?どうした?」
ホワイトがそう言うと、ホーキングは額から汗を流す。
「あ・・・・が・・・・・・」
バタリと、ホーキングは糸が切れたようにその場に倒れた。
「ホーキング!!」
ジブリールが慌てて駆け寄る。
ホーキングは白目をむいて気絶している。
「なんで!?なにがあったの!?」
周りにいた全員はその理由は分からない。
「待て!!何か聞こえないか?」
フレッカーは叫び、全員を黙らせる。
微かだが、社長室にチッチッチという音がする。
「何の音だ?」
フレッカーは音を頼りに音源を捜す。
すると、社長室にあるごみ箱から聞こえているのが分かった。
フレッカーは恐る恐るごみ箱を開ける。
すると、中に黒い球体に赤い数字があるのが分かった。
赤い数字は残り数秒。
「ば、爆弾だ!!全員逃げろ!!!」
フレッカーの叫び声で、一瞬全員の動きが止まる。
「急げ!!間に合わん!!」
ジブリールとホワイトはホーキングを担ぎあげて社長室のドアに向かう。
その時だった。
ボォォォォォォン!!!!!!
まばゆい発光と保険会社を大きく揺らす轟音が東京の街に響き渡った。
一般市民は悲鳴をあげて上を見上げる。
少なくとも、10階のフロアすべての窓ガラスが割れ、煙に炎が出ている。
保険会社10階は、火の海と化した。
**********
太平洋を横断している‘デミウルゴス’を乗せた船。
ミスターⅩは船の甲板にいた。
「・・・そろそろか。」
そうつぶやくと、ミスターⅩの目の前に突然一人の男性が現れた。
「ミスターⅩ。保険会社への奇襲は成功。少なくとも奴らに多少のダメージは与えました。」
右にピアスをし、いかにも不良という恰好をしたビル・アルバードはそう伝える。
「そうかそうか。よし、お前の能力で数日後に作戦を開始する。」
ミスターⅩはそう言うと、船の中へと姿を消した。
**********
一方、そんなことが起きているとも知らずに、優は北海道の新たな学校に通っていた。
大山中学校の生徒は全員フレンドシップですぐに溶け込んだ優。
授業も終わり、優はカバンを持って廊下に出た。
「神宮君!!」
優が廊下を歩いていると、後ろから赤井連、月影瑠愛、荒神緋色の3人が現れた。
「いっしょに帰ろうよ。」
瑠愛が笑顔で言う。
優には別に断る理由もない。むしろうれしいことだ。
「いいよ!!」
優は笑顔でOKを出した。
しかし、このあと起きることに、優は笑顔を無くすことになる。
それを優は知らないまま、廊下を笑顔で歩き去った。