ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜ワンボーイ〜1話更新♪ ( No.9 )
- 日時: 2009/11/19 15:57
- 名前: 遊太 (ID: EWcIN/Ij)
♯2 覚醒
帝国中学校を出た優と美保は、学校の隣に流れる赤羽川という川に掛る未来橋の下にいた。
川が流れているだけで周りには何もない。
「優、もう一回できる?」
美保と優はその場に荷物を置いた。
「いくよ!!」
優は両手に力を込めて上へとかざす。
ボォォォォォォォォ!!!!!
両手から炎の柱が火粉を出しながら現れた。
「すごい・・・・・」
美保は口をあけて絶句した。
優が手の力を抜くと、炎はピタリと止まった。
「コツはつかんだけど、結局何だろう。この能力・・・・」
優は手をじっと見つめる。
その時、とある出来事が頭をよぎった。
‘門の前で頭痛が起こった’
あの頭痛が関係しているのか・・?
「美保、美保はどうもないの?」
「え?なんで?」
「いや、頭痛が起こってからこんなことが起き始めたから。」
優が言うと、美保は目を輝かせた。
「わ、私も手から炎出せるの?」
「やってみれば?」
優が軽い気持ちで美保に言った。
すると、美保は両手に力を込めて上へと上げた。
その時。
美保の背中から突然白い羽が飛び出した。
「はぁ!?」
優は驚き後ずさる。
美保は驚くどころか、目を輝かせて羽に目を向ける。
「うわぁ!!すっごい!!」
美保は制服を突き破って背中から生えている羽根を見てはしゃぐ。
優から見た美保は、まるで天使のような姿だった。
羽の色は純粋な白・・・・
「じゃなかったぁぁぁぁあ!!!!」
優は叫び、美保に駆け寄る。
「根本的な部分忘れてるよ!!結局これは何!?」
美保はその言葉で少し汗を流す。
「そういうや、これどうすればいいんだろう・・・・」
美保は羽根を見て唖然とした。
優はともかく、美保はどうすればいい?
こんな姿で帰れば・・・・・
「どうしよ・・・・」
美保がつぶやいたその時だった。
「ねぇ?君たち?」
2人の後ろから男の若い声が聞こえた。
2人は驚き後ろを振り向く。
後にはスーツを着て、髪を緑に染めた若い男性が立っていた。
「ちょっといいかい?」
男性は2人に近づく。
美保の姿を見ても男は表情を変えない。
こいつはなんだ?
優は両手を前に向け、美保を後ろに隠す。
「な、なんだよ!?」
「君らも能力者か?」
男性はそうつぶやくと、片手を上に向けた。
すると、男の手からすさまじい電撃が発生した。
優と美保はその姿を見て唖然とする。
「僕はスタンリー・ルパート。よろしく。」
「が、外人?」
優がそう言うと、ルパートは笑顔でうなずく。
「早く来い。言っておくけど、君らかなり危険だよ。」
ルパートはそう言うと、2人と地面に置かれていた荷物を持つと、橋の下から出た。
「あの車まで走れ。」
ルパートの指差す方向に黒いバンが止められている。
「急げ!!」
ルパートが叫ぶと、2人は有無を言わずに車まで走った。
ドアを開け駆け込むと、運転席にブロンドのロングヘアーの女性がいた。
「乗った?」
「え?あっ、はい。」
「マリー!!出せ!!」
ルパートは助手席に座りながら言う。
「はいはい。」
こうして、優と美保を乗せた車は動き始めた。
**********
一方、東京の高速道路
東京の高速道路から、一つ黒い煙の柱が空へと向かって立っている。
『今日の夕方、東京都帝国中学校へ向かっていた大型トラックが謎の炎上を起こしました。運転手の原田光太郎さんはすでに死亡していた模様です。』
女性アナウンサーが燃えているトラックの前でカメラに向かってしゃべりかける。
その近くに、青森の刑務所から逃げた栄治と丸吉がいた。
「栄治、やったな。」
丸吉は隣に居る栄治に言う。
「ああ。神は俺らに手を差し伸べたらしいな。」
栄治はそう言うと、片手からほんの少しだけ炎を出した。
「やってみるか?世界征服。」
栄治は不気味に笑うと、静かに炎を消した。