ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: StarDust ( No.2 )
日時: 2009/11/12 19:53
名前: アルフィン (ID: Z6SnwTyI)
参照: よかったら見てくださいね!!

進行.1夜

時は現在。世界の技術が発達し、人型の機械が生み出された“楽園”と称される地球。
一切の不自由もなくただそこにあるだけの笑み。
その(楽園)は本当に真実の姿なのか、それとも人を縛りつけあげる無数の檻でしかないのか・・今の地球(楽園)にそれを問うものはいない・・・
その“楽園”と呼ばれるものは地獄そのものかもしれない・・・

そんな世の中に一人の少女はいた


鳥達が詠う町外れの薄暗い林の中、薄黒い日射に抱かれた少女が一人寂しそうに立つ
彼女の瞳は心が無い様な冷徹な瞳。映し出されるのは
過去の過ち。少女は“魔具”と云われる可愛らしい猫型の魔具を抱いてただ大地を見つめる
途方に暮れて掴みどころも無い“楽園”から除外されたただそこにあるだけの壊れた人形のように彼女はそこから動かない。

夜になっても彼女はそこから動こうとはしなかった。
あたりをきょろきょろと見渡して『居ない』と自覚されるたび俯いての繰り返し。
いったい彼女は何を求め、何を探しているのか・・・

ある時“魔具”は問いかけた。
声にならぬ声で囁く

「いつまで繰り返す・・・?」

彼女の脳内に響き渡る聞こえぬ声。
ただ脳内にだけ響き渡る“魔具”の声。

「お父様が帰ってくるまで」

少女は小さく囁いた。
しかしその答えは否定される

「帰ってはこない。君が壊したんじゃないのか?」

「そう。私は“当たり前”の日常を壊した。だからお父様は帰ってこないの?」

「・・・・・・・・当たり前かはどうかは知らない。でも、君が追放したんだ」

彼女は叶うことの無い願いをずっと待ち続けている
“お父様”と云われる彼女の父親
“当たり前”を壊した父親の娘
その当たり前とは何なのか・・・彼女の過去は追憶とともに開かれる

「お父様から貰った“魔具”通称『StarDust』ねぇ、お父様は何処へ行ったの・・・?」

「此処とは違う場所。君が知らない世界。」

浅く答えるその魔具は真実を書き上げるように話す
まるで彼女の望む道を作り上げるように・・・
父親の居場所を何年も待ち続け、最後の望みを叶えさせるように・・・

「来な・・・彼が使っていた研究室を教えてあげる。そうすれば・・・きっと・・・会えるよ」


“楽園”から開かれる扉、それはあと少し__

             
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