ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: StarDust ( No.8 )
日時: 2009/12/24 16:03
名前: アルフィン (ID: Z6SnwTyI)

「お願い・・・、あの子を返して・・・・・・!!」

開門.4夜

青年と少女はその王が待つ玉座へと向かう。
不安に震える少女、それを見つめる青年・・・ただ父の居場所を知りたいだけために・・・
シェトと云われる“魔具”StarDustの能力をもつ。
最高思念の最古の“魔具”であるため、それを奪おうとするものも多い・・・
少女にはそんな事は分からない、自世界と反転された世界から来たものである彼女には・・・

「ねぇ・・・、その人。。。シェト・返してくれる?」

青年は沈黙を続けながらも口を開いた。

「さぁね・・・。僕にはどうしようも出来ないことだし・・・」

少女はそれを聞くと歪んだ表情をして俯いてしまった。

「シェトは・・・私の唯一の友達なの」

そういうと少女の唇は重く閉ざしてしまった。
青年はどうすることも出来なかった。
続かない会話、微妙な境界線を持ちえた二人。
少女が見つめるものはシェトなのか父で在るのか・・・

         *†*

青年が足を止めたのはいかにも王が住んでいそうな場所。薄暗い翳りに暗黙の空。高く聳える神殿。
様々な模様が施された細かい装飾。見ただけでその雰囲気が漂ってくる・・・

「此処だよ・・・、僕は此処で待ってる・・・」

そういうと青年は少女に道を開け譲った。

しかし少女はその道を行こうとはしない・・・
不満げな顔でじっと青年を見つめる。
青年は「?」と唖然とした。

「貴方は一緒に行ってくれないの・・・?」

「えっ・・・・・・・・・」

青年は驚きのあまり言葉を漏らした。
ただ純粋な彼女の言葉に驚いた。

「貴方がいないと・・・シェトが戻ってこない気がする・・・」

少女は青年に近づいて腕を引っ張った、青年は前に前にぐいぐいと押されこけそうになる。。。
それでもお構いなしに少女は青年を案内させた。
青年は少女の強引さに何もいえなかった。

神殿の中は暖かく、オレンジに燃えるたいまつの炎が揺らめいている、それはパチパチと音を立てまるで少女を待ち受けていたかのようだった。
神殿の中は以外に分かりやすい構造にしており、空気の通りがよく、とても動きやすい。
青年によると二つの道が在り部族以外のものが踏み込むと罠が作動する道と正式な公式の道があるらしい。
少女が通っているのは正に正式な道だった。

しかし、空気がよく通るとはいえ、その王に会うとなれば何故か空気が重くなり、気疲れする。
重いため息をついて少女は歩く。

「この先に・・・王がいるよ・・・・・・。僕もいるから大丈夫・・・」

少女の手を取ってその王の元へと進んだ。。。


             †5へ†

追記:今思うと神殿の中一人で行けなんて迷うねww