ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜*別世界の物語*〜 ( No.4 )
- 日時: 2009/11/13 17:59
- 名前: 爽雅 ◆g5PYh/Fz2M (ID: m7pepIKd)
- 参照: 雑談でもコメディ、二次小説、社会問題系などおりますので。
第二話「二人のお宝」
《今から十年前……》
『茲、こっちにおいで』
おばあちゃんが私においでという。
私は小走りでおばあちゃんのところに向かう。
『なーに? おばあちゃん』
『手をお出し』
私は手を出した。
お菓子をくれるのかと思い、手を出す。
私の手におばあちゃんの手が重なる。
そして、手のひらを見ると、真っ赤で綺麗なビー玉があった。
『おばあちゃん、これなあに?』
おばあちゃんはニッコリ笑って説明してくれた。
『これはね、炎珠といってね、炎の真珠なの。 今の茲には難しいかもしれないけど、簡単に言えば、とても大事なもの。 だから、ずっと大事にしておいてね』
これしか聞けなかった。
その翌日、おばあちゃんは急死。
原因は不明だが、優しかったおばあちゃんが死んだことに、私は悲しかった。
そして、十年後。
あれからずっと、あの“炎珠”を持っている。
どうして、これが大事なのだろうかと、暇さえあればずっと、このことを考えてる。
…
今から何年前のことだろうか。
お父さんから、この“風珠”を貰ったのは。
十年位前のことかな。
『桂、ここへきなさい』
『は、はーい』
いきなりお父さんに呼ばれ、おっかなびっくりで答えた。
お父さんは厳しくて、何かをすればすぐ怒る。
友達の前でもお構いなしだ。
そんなお父さんに呼ばれ、おずおずとお父さんの前に来た。
『座りなさい』
『はい』
正座をして、お父さんを見る。
すると、お父さんが俺の目の前にあるものをおいた。
ビー玉……?
『先にいっとくが、これはおもちゃではない。 これは風珠といってな、風の真珠だ。 この真珠には、風の力を持っている。 とても大切なものだ。 無くすなよ、いいなっ』
そう言うと、お父さんは、部屋に閉じこもった。
俺はビー玉を見つめて、すぐ大事なもの箱へしまった。
それからずっと、あけてみてない。
今、見てみようかな?
俺は、大事なもの箱のふたを開けて、風珠というものを見る。
とても綺麗だ。
この中に色のついてる風が、ふいてるようだ。
“この真珠はなんだろう——————?”