ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: +.*Wing of the Dark moon*.+ ( No.5 )
日時: 2009/11/16 20:04
名前: b'`*)ノ桜姫⌒゜* ◆hjAE94JkIU (ID: kYMQpD9Q)
参照: http://www.doumori.com/bbs_talk/show.php?kiji_id=332573

2話 立ち入り禁止

ボウッとした意識の中、鉄と錆びと何か生臭い匂いが鼻をつく。

その匂いに耐えきれなくなり、珠亜はゆっくりと身体を起こした。

その瞬間目に飛び込んできた光景は信じられないモノだった。


黒い服を鮮血に染め、真紅の瞳を光らせて銀色の髪を風に靡かせ、1人の少女が立っていた。

『……起きたの?』

少女が淡々と語る。

思わず体が震えたが卒倒しそうになるのをこらえて何とか頷く。

少女は無言で珠亜に近づいてきた。

コツコツと硬い靴音がその場に響き渡る。

スッと少女はその場に屈んだ。

血のように真っ赤な目が珠亜の目を覗き込む。

『……ロアの森で寝てるなんて……命知らずも良い所』

ロ……アの……森?

聞きなれない言葉に思わず首を傾げる。

銀髪の少女はスッと目を細めると無言で片手を差し出した。

そして言葉少なく、静かな声で呟いた。


『……ついてきて』


珠亜は戸惑いつつもその手を取った。

銀髪の少女は無言で珠亜を立たせ、その場から歩きだした。