ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Noput out Memory —刹那の想い— ( No.1 )
- 日時: 2009/11/20 20:57
- 名前: きよみメイド (ID: TEtEJYHD)
プロローグ
その夏はいつもより違っていた。でも何か懐かしい記憶が蘇る。
窓ガラスに映る雲は大きく渦巻いて、暗雲が立ち込める。
庭に咲く彼岸花はいつもより紅く紅く、滴る血液のように紅に染まっていた。
それにしてもここはどこだ。夢の中?それとも俺は死んだのか?ただいま分かる事はいつもとは違うが、何か似ている自分の家(?)の縁側に座って、一人、孤独に家を見渡している。くらいか。
いつもなら儚い夢から覚めて、いやいや学校に行くよういをし、長い通学路を仏頂面で歩いていただろうに。
夢なら覚めてくれよ。
俺の思いは今はそれくらい。まぁ、これはどうせ夢なんだ。死んでるとしても思い残す事はない。
あるとしたら一生を裕福な家庭で過ごせなかった位だな。
色々考えたらもっとあるかもしれないな。でも今はそんなこと思う気分じゃない。
とにかくここはどこかを知りたいな。
・・・学校まで歩いていってみるか。
かれこれ一時間くらい
「はぁっ」
といいたい気分だったが暑くない。逆に冬みたいだ。それにしても、やっぱり現実世界じゃないな。人がいない。小鳥一匹でさえも。
なんなんだよ、これ・・夢ならもっといい夢が見たいよな?健全な高校生の男子諸君。
てか一人だと独り言が多くなる。
(心の中だが・・・)
こんな風に自分と喋ってる間に学校につく。
・・・門が開いてる。
ココロの奥深くでは入りたくない気持ちがたくさんあったかもしれない。なんせスウェットの上下、寝癖もじゃらん星人。
ま、夢なのならば関係ないだろ。
そう考えながら教室へあしを運ばせる。
・・・やっぱり誰も居ないな。窓は・・・・開いた。
見渡す風景は家の窓と同じような景色。暗雲渦巻いたどす黒い世界。・・・なんか面白いのこねぇかな〜〜
(宇宙人でも言いや。とにかくつまらん)
はぁ〜〜〜しつこいなぁこの夢。
いつもなら、いい夢、普通の夢しか見ないのに。
(しかもいいところで終わる)
こんなつまらん夢に限ってしつらこいのはなんかむかつく。
早く目が覚めたい・・・
覚めない・・
パターンだがほっぺたをつまんでみた。
痛くない。
頭を殴ってみた
痛くない
舌をかんでみた
痛くない
血すらも出ない
なんか面白くなってきた
運動場側の窓を大きく開け、と思いきや拳で叩き潰し、安全バーの上に立つ。思っていた以上にちっぽけな世界に見えた。
見下した自分の体。今にも落ちそう。
いや、俺は飛び降りるのだ。この世界にいると傷みが感じないらしい。だから飛び降りても平気だろう。
といった瞬間 落ちる
体全体に広がり、そよ風程度に感じ取った空気を、俺は無視してまっさかさまに落ちていった。もうソロソロ地面の着くはず。・・・落ちない。どうしてだ?まさか夢から覚めたのか?いつもこうだな。気に入った夢に限っていいところで覚める。意外なパターン的なものだ。はぁ・・・せっかく興味がわいてきたところなのに。どうせ目が覚めたら遅刻!!とかのパターンだろ?あきれる。
だがそれは最終的にいい夢ではなくなるだろう。
この夢は夢ではないし、人の夢は儚いというからな。第一、この世界を見た瞬間、不思議なことが沢山起きるのだから。