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闇ニ舞ウ記憶ノ欠片 ( No.15 )
日時: 2009/11/22 11:20
名前: 黒翼 ◆ERZNJWqIeE (ID: 82QqnAtN)
参照: http://all-star5-knksk.cocolog-nifty.com/blog/

  2冊目【鏡影ノ意】 3ページ目


『俺ノ影ハ大人シク影トシテ見テイロ』


「!」

 俺はベッドから飛び起きた。

「今、のは……」

 チャイムが鳴り響く。
 時計を見ると、3時間目終了を告げるものだとわかった。

「先生、眠ィ」

 惚けたような声で保健室に入ってくる誰か。
 声色から察して、出雲たちだ。

「誰か寝てんの?」

 病人覗く馬鹿があるか。
 ベッドのある場所と先生たちのいるところは、出雲が
 開けたことによってカーテンが遮りをやめた。

「……木川? ってその目ェどうした!?」

 真っ赤に充血した目が、窓ガラスに映る。
 だが、それより驚いた事がある。





——映りこんだ俺は、影のように身体を染めている——





「い、出雲……」
「ん?」
「俺の身体……黒くないよな?」

 出雲は目を上下させ、俺の身体の異常を探した。

「大丈夫だけど……つか、性に合わない冗談よせって。身体は黒くならないから」

 出雲は笑ってそう言った。
 初めて出雲を羨ましく思った。

「悩みのない馬鹿も良いものだな」
「なんか言ったか?」
「別に」

 そして出雲たちは先生に促され、教室に戻っていった。

「先生」
「木川くん……大丈夫? さっき発汗して苦しそうに寝てたけど……」
「はい。あの、目薬くれませんか? 目が充血してるみたいで」

 俺は何事もなかったように平気で突き通した。
 余計な心配されてもあれだからな……。
 目薬下手にうつってのもあれだけど、うたないよりはマシか。

「なんだろうね……はい、目薬」
「ありがとうございます」

 上を向き、目薬をうつ。
 ……やべぇ、めちゃくちゃ沁みる……痛い。

「具合はどう?」
「大分よくなりました……授業に戻ります」

 そう言って、俺は保健室を後にした。

「……っ、く……」

 まだ全快していない。
 出た瞬間、膝をついてしまった。
 目眩に吐き気……





——……。





 俺はなにかを悟った。
 4時間目終了のチャイムが鳴り響く。
 俺は3年2組を訪問した。

「あんれ? 木川? 珍しいね」
「柴田……いる?」
「おう、いるぜ。暁ーっ、木川が」





 ——助けてくれ、柴田。俺には、もうお前しかいない。

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