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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: セカイ ( No.1 )
- 日時: 2009/11/22 10:57
- 名前: 鈴 (ID: SHYi7mZj)
第一話 -物語ノ幕開け-
「ちょっ!花菜!」
「何」
「いや何じゃなくてそれ何!?」
下校中、
今にも落ちそうなアイスクリームを何個も持っている花菜と、それを見て唖然として見ている茜の姿があった。
彼女が驚くのも当然と言っていい。
花菜の落ち着いた容姿とその制服に、この大量のアイスクリームは違和感がかなりあるし、
それなりに人がいる道路沿いの道を歩く花菜は周りからかなり注目されている。
まして、花菜が極度の甘党だと理解していた茜すら驚く程のアイスクリームの量だ。
「こっちは自分で買ったけど、こっちはおじさんがくれた。」
花菜はアイスクリームをいっぱいに持った手を交互に前に出し、ほとんど表情を変えずに言った。
ていうか、何故おじさん?
売ってる人?知らない人から貰ってないだろうね花菜?
そんなツッコミを脳内でしていると、「はい」と花菜に2個程アイスクリームを渡された。
しかもトリプル。食べれるかな。
花菜の話を聞くと、普通に店で食べてて、5〜6個買って帰ろうとしたら、その店員の人が、
「頼む!これ以上食わないでくれ!
これは持って行っていいから…」
と泣きながら頼まれたらしい。
…店内で何個食べたかは聞かないで置こう。
「茜。」
そんな事を考えていると、突然アイスクリームを持っている手を指差された。
「あっ!溶けてるぅぅぅ!」
そう言ったのもつかの間、驚いたせいで前のめりになり、溶けかけのアイスクリームが手から落ちていく。
それが、茜が見た最後の情景。
あっけなく崩れさった平凡で平和な生活と、この物語の、
幕開けだった。
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