ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: セカイ ( No.10 )
- 日時: 2009/11/24 18:21
- 名前: 瑠花 (ID: SHYi7mZj)
ぼやけている視界が晴れていく。
またいつものように、学校へ急がなければ行けない気がする。
ゆっくりと、体を起こす。
虚ろな目はまだ視点が定まっていない。
ベッドの隣にある小さな窓を開けてみる。
それはもうずっと開けられた事のないように、こすれた音を出しながら開いた。
窓の外には、やっぱり残骸のような物が散らばっている。
それはいわば「確かめ」のような事。
この世界に来てしまったという、逃れられない現実。
ふと自分の着ていた制服を見るとぐちゃぐちゃになっていた。
シャツを整えて、リボンもこんがらがって首に巻きついていたのを直した。
上着に袖を通す。
靴下は脱ぎっぱだけど、まぁいいか。
ベッドを降りて、隣の部屋へ向かう。
スリッパの無い足が、ひんやりと冷たかった。
「リアー?起きたんだけどー。」
ソファでパジャマ姿のまま本を読んでいるリアを見つけたので、声をかけてみる。
なんかリアがパジャマって以外なんだけども。
第一印象が綺麗な人だなーって感じだったのに。
リアパジャマ?何このリアディゾンみたいな感じ?
「…………」
リアから返事は返ってこない。
うーん。なんか空しい。
ていうかあの人は人の話を聞かないと言う性質を持ってる気がするんだけど。
「リーアーさーん?」
「…………」
「リーアーさーん!?」
「ん?」
顔をはっと上げて、やっとあたしの方を見る。
「ああ。起きてたの。
それじゃ。行く準備するわね。」
「はいって何処に?!」
「昨日話した事なんだけど、今の貴方じゃどうしても無理なのよね。」
…は?
ええちょっと笑いながら言わないで下さいよ!
あのつまりあたしをけなしてるって事ですかー?!
「とりあえず、私の仲間紹介も兼ねてある所に行きましょうか。」
「えぇ?はぁ…」
本をぱたん、と閉じて用意を始めるリア。
ある所?こんな所にリアの家みたいな場所じゃないとこあるんだ。
寝ていた部屋に戻ると、緊張しているのが分かった。
ベッドの上に音を立てて座り込む。
ふいに、友達や家族の事を思い出した。
今までこの世界のことやらで、忘れていた。
リアの目的を果たすには、あとどれだけの歳月がかかる?
1年後?2年後?
クラスが変わって、学年が変わって、あたしだけが取り残されていくのだろうか。
皆はあたしの事を、覚えていてくれるのだろうか。
どうしてあたしだけ、こんな目に?
だけどリアを裏切る気にはどうしてもなれないし、リアの協力が無ければ帰れないのだ。
震える両手を、ぎゅっと力を入れて握り締める。
恐怖からなのか、希望からなのか。
真実を、忘れたいだけなのか。
それでも物語のページをめくるのは止まらない。
あたしはその上を歩き続ける。
根拠の無い自信を抱いて。