ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: セカイ ( No.2 )
- 日時: 2009/11/23 12:45
- 名前: 鈴 (ID: SHYi7mZj)
第2話-違う-
ええっと?こういうどうすればいいんだっけ。
あ、思い出した!
手に人って3回書いて飲み込むんだね分かったよ人!
納得したように手をぽん、と叩く。
意味不明な言葉を頭の中で言っていたが、
本当にこの世界は「意味不明」という言葉に相応しいのだ。
持っていたはずのアイスクリームは無く、ただ一人洋風な家のソファに座っている。
そこで彼女は混乱した頭を現実に引き戻し、
さっきまでの事を思い出そうとした。
えっと、えっと、
花菜にアイスクリームを貰って、落ちそうになって…?
だめだ。そこから記憶は此処に居る所まで飛んでる。
「あのー・・・。」
あたり全体をぐるっとソファから見渡す。
人がいるかと声を出してみるが、答えは無かった。
応答。応答しろスネーク!
応答が無く、人影もないと分かった所で、急に不安がこみ上げてきた。
何がなんだか、さっぱり分からない。
さっき確かめたように、本当にこの家に居るのは茜ただ一人。
頭の中で考えてるうちに、足が先に動いた。
無意識ーと言うよりは、深層意識と言った方が近いのだろうか。
ドアの方に向かって駆け出していく茜。
帰りたいという衝動で、ドアをばたん、と音を立てて開いた。
「何…コレ…。」
分からない。分からない。分からない。
その言葉だけが頭の中で響く。
また普通の世界が戻ってくると思いきや、目に飛び込んできたのは見たことも無い光景だった。
家の瓦礫の山と、ぼろぼろになって少しだけ残っている家々。
街灯などあるはずもなく、夜であるのか周りは真っ暗だった。
ひゅうひゅうと行き場を失ったかのような風が木を揺らし、暗闇を包み込む。
この異様な光景に、力なく茜はその場に座り込んでしまった。
口から嘲笑が漏れる。
気づくと女が一人、茜のすぐ横に立っていた。
音もなく、いつから此処に居たのだろう。
グレーのコートを被り、背丈は茜より少し高いくらいの女。
座り込んでいるままの茜に、
「ようこそ。セカイへ。」
微笑みながら女はそう小さく言い、呆然としている茜を立たせ、手を引いた。
2人の足音が、あたりに響いた。