PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: セカイ ( No.4 )
- 日時: 2009/11/22 12:20
- 名前: 瑠花 (ID: SHYi7mZj)
冷たくなった手が、温まる。
さっきの人に手を引かれて来たのは、最初居た所とは違うが、似たような所だった。
生温い環境で普通に育ったあたしは、色んなことにいっぱいいっぱいで、疑うなんてそんな事は出来なかった。
外に出た時は全部同じ家のように見えたし、ひょっとしてここ全部家の造り同じじゃないのかと思う。
部屋にはストーブが付いていて、暖かかった。
「落ち着いた?」
「ええ?!あ、はい。」
周りをキョロキョロしていると、声を掛けられた。女は即にコートを脱いで、椅子に腰掛けている。
「あの、それはともかく此処、何処なんですか?」
「名前は?」
「え?」
「茜…ですけど。」
あたしの質問はことごとく無視された。
人の話は聞いた方がいいと思うよ。うん。
「そ。」
「ええ!?ちょっこっちは26文字も喋ってるのに1文字で応答?!
いやそこは自分も名乗ろうよ!」
少し驚いたような顔をする女。
てゆうか今、心の声出たよね?あたしの。
「ああ、ごめんなさいね。私はリア。」
直ぐに平静を取り戻し、リアはそう言った。
「あと、そっちの話し方の方が面白いわ。敬語なんて使わなくていいのよ。」
「分かりまし・・分かった。」
そんなやりとりが繰り広げられるが、何処ですか?と言う最初の質問には答えてもらえなかった。
話が落ち着き、あたしが反対側のソファに腰掛けた所で、
「貴方が此処にいるのには、理由があるわ」
とやけに真剣な声でリアが言った。
少しの間、沈黙が流れた。
目を逸らそうとするも、そうすれば次の言葉を言えなくなってしまうような気がする。
リアは茜の方を見つめてから、下を向いた。鮮やかな金色の髪がそれといっしょに垂れる。
「貴方はまだ、何がなんだか分からないだろうけど。
話すわね。貴方にして欲しい事と、この世界の事。」
PR