ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.32 )
- 日時: 2010/03/28 20:51
- 名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)
【6】
「どうして?」
私もカリンちゃんも驚いた。
私の眼はいつも百発百中で死を伝えてきた。
なのになぜ死んでないのだろう…
まぁカリンちゃんが生きていたのはうれしいのだが
素直に喜べない……。
「お、お化けじゃないよね…カリンちゃん自身だよね?」
「あぁ。そのつもりだが…。」
私はほっぺたをつねる。 痛かった。夢じゃない…。
「印は?」カリンちゃんは掌を見せる。
「大丈夫。ほら、これ。」
私は床に落ちた印を見せる。
一回剥がれたモノは見えるのは分かっている。
ホッとカリンちゃんはため息をついた
「生きてるんだ。よかった。」
「んん…。でもなんで…予告はでてたのに」
「“才能”がなくなったのか?」
カリンちゃんは紅茶をいれてわたしながら言う
「でも、そんなことって…」
「そんな例はないが…。ありえないことはないな…」
なくなった…。小さい頃は怖くて自分の“才能”が嫌いだった。
だけど、また一つ私の大切なモノがきえてしまった。
“才能”があったからこそあの冬に彼としゃべることができた。
“才能”があったからこそ生き延びられた。
“才能”があったからこそ死になれ、泪を流さなくてすんだのだ。
「まぁ。いいだろう。私も×××も生きてる。それでいいじゃないか。」
「うん。でもくやしいよ…。これ以上なにもなくしたくないのに…。」
私は俯いてしまった。心配させたくないのだが…。
もちろん、カリンちゃんは心配する。
「最近。変わったことはなかったか?」
変わったこと……。泪脆くなっただろうか?
泣いてはいないのだが、泣きそうになる…。
そう。彼と最後に会った時……———
私は眼の“才能”に目覚めてから泣かなくなった。
悲しい顔はするし泣き目になるけど、涙がでることはなかった。
あの時私は初めて泣いた。涙が頬をつたった。
「泣いた。カリンちゃん。私泣いたの。」
私ががむしゃらに話す話をカリンちゃんは静かに聞いてくれた。
カリンちゃんは聞き上手だとつくづく思う。
「なるほどな。鍵をにぎってるのは彼だなぁ。」
「うん。そう思う。」冷めた紅茶を飲みながら言う。
「だが、さっきの話だと彼は死んでるんだろう?」
「うん。そうだと思う。でも違うかもしれない。確信はないの。」
「麻の葉がいれば居場所がわかるがあいつは“あっち”にいっちゃったから…。」
カリンちゃんの顔がくもる
「ううん。大丈夫!」
私は本当にそう思った。自信があった。
「だって、帰ってこないなら、こっちからいけばいいんだもん!!」
きっと彼の記憶が私にだけ残っていたのは眼が記憶していてくれたんだと思う。
なら、今度はそのヒントを元に彼に会いに行きたい。
彼はきっと待っているだろうから…。