ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 青空兎【ソラウサギ】辛いコメお待ちしてます… ( No.39 )
日時: 2010/03/28 20:57
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【9】
日も暮れかけていて、空も赤く染まっていた。

私とカリンちゃんは下校途中、小淵くんや未来さんが言っていた“逃亡者の家”に行ってみることにした。

「逃亡者ってことは犯罪者や脱獄した囚人のことだと思うのだが…」

「ひぃぃ…。怖いこと言わないで。」

カリンちゃんはなぜそういう怖いことを私にいうのだろう。苦手なのに…。夕方なのに…。

「悪い。だがなぜ白百合はそんなヤツをあそこに…。」カリンちゃんはぶつぶつと考える。

本当にそうだったら危ない。カリンちゃんがいるから少し安心できるけど…。

なんせカリンちゃんは自称人形士。

人を操ることが“才能”だからだ。これは“あの冬”でも頼りになった。

新学期早々にみたあの空き地には2階建ての長方形型の家が建っていた。はっきり言えば周りに花がたくさん咲いているだけで全然かわってない。…壊した意味ないし…。

1階はやっぱり店になっていてドアに『CROSE』の看板がかかっていた。

「誰もいないようだが…」カリンちゃんがドアノブを回しながらいう。鍵がかかっているようで開かない。

「ちょっとカリンちゃん。温室のドアみたいに蹴破らないでよっ!!」

私はハラハラしながらいった。しないから。と笑ってカリンちゃんはいう。

「あら?鈴々学園の生徒さん?」後ろから声がした。

…もちろん振り向く。そこには、後ろ髪を赤い紐で軽く結んだ背の高い女性が立っていた。

その声。その顔。女性の全てに覚えがあった。

黒百合楓。“彼”の正真正銘本当のお姉さんで、“あの冬”に大量殺戮をおこした—その人だった。