ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 青空兎【ソラウサギ】辛いコメお待ちしてます… ( No.41 )
- 日時: 2010/03/28 21:00
- 名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)
【10】
……。何を話せばいいだろう。
私達は楓さんに招かれて、前までレモネードを飲んでいたカウンターで紅茶を飲んでいた。
てか、今日飲み過ぎじゃないだろうか…。
「あ、あの。」珍しくカリンちゃんが下にでる。
「あなた、黒百合ですよね?なぜここに?」
楓さんがため息をつく
「わたしね。“あの冬”のあと、黒百合と縁をきったの。だれかに鐘を鳴らされて…。白百合の…鈴々学園に入学したの。自称逃亡者。私にはぴったりね。
住むとこもなくて、空き地だった白百合の土地に…ここだけど。建ててもらったの。未来ちゃんに…」
「未来“ちゃん”?あなたと未来ちゃんは犬猿の仲だったはずっ!なんで?」最初からなければ誰もいなくならなかったのに…。私はほえた。
「おい、×××。」カリンちゃんがとめる
「白百合の中に入った限り、私は黒百合の後継者にならなくてすんだの。私はもう黒百合の人間じゃないから睨みあう必要はなくなったの。全部。鐘を鳴らしてくれた子のおかげ…」鐘を鳴らしたのは“彼”。つまり楓さんの弟なのに…。確かそのあと自殺に追い込んだのも楓さんじゃないだろうか。
—この人の中からも“彼”は消えている。
「あぁ。その子にあえたらなぁ。未来ちゃんは把握してないって。あなた達知ってるかな?」楓さんは優雅に微笑む。さすが元、財閥の後継者。
だけど私はそんなこと考えるよりも怒りがこみあげてきた。カウンターの上のコップにはいったナイフをつかむ。
「ふざけないでっ!あなたが彼を…彼を…」
死んだと、認めたくはなかった。楓さんは動揺している。
「やめろ。変なマネはよせっ」カリンちゃんがいう。
「彼を殺したのはあなたじゃない!!」私はいいきった。
コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル
頭の中に響く…。私は楓さんを押し倒すとナイフを首もとに当てた。…………——
“がくん”とナイフをもった手がゆるむ……。身体のいうことがきかない……—
“からんからん”と音がしてナイフが楓さんを滑り床に落ちる。
「やめろ。×××。」カリンさんは額に汗をかいていた。指がせわしなく空で動いている
私はカリンちゃんの“才能”でとめられていた。全力疾走したときのように荒い息をしている。
「ごめんなさい…ごめんなさい。私、知らなくて…」
楓さんは泣いた。カリンちゃんはそっとナイフを拾い上げ、指を動かすのをやめる。
身体が動くようになった私は、そっと立ち上がった。
「謝るのは私のほうです。カッとなってすいませんでした。」
私はカリンちゃんから鞄をうけとりドアを開けて帰ろうとした。
「ちょっと待って。」楓さんはそういうと急いで2階への階段をのぼっていった。
待っていると白いノートをもってきた。
「これ。あの子の落とし物だと思う。はじまりの鐘のとこに落ちてたから…。」
それは、私が“彼”にあげた薄いノートだった。
青い“釘が刺さったとんがり帽子”が表紙に書いてある。
間違いない。
「ありがとうございます」私は受け取った。
「あの、私のこと、ゆるさないで。いつまでも憎んでいて。それが私の罪なら、もう逃げたくないから。」
楓さんは強くそういった。
「はい。許したおぼえはありません。私はあなたのことを死んでも憎みます」
私は答えた。