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Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.55 )
日時: 2010/04/01 13:06
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【15】
前にも同じことがあった…。

私は鈴鳴りの塔の最上階。はじまりの鐘に来ていた。
なぜか今は鐘がない。
ずっと未来ちゃんに聞き忘れてしまっている…。

私はいつもカッとなってしまう…。
そんなに大げさなことじゃないのに大げさにしてしまう…。

ため息をつく…。
キミみたいに、飛び降りてしまおうか…?

だれかがくる足音がした…もちろんわかってる。
カリンちゃんと小淵くんだ。それとリンクス…。

「天吹さん。ゴメン。へんなこといっちゃって…。」
小淵くんがペコっと頭を下げる。

「キュー…」
リンクスが心配そうに足にすり寄ってくる…。

私は振り向かず空を見ながら告白した。

「もう信じられない…。私は役立たずなんでしょ?なら、もう私はいらない。2人でみんなを捜せばいい…。私はみんなにも恨まれてる…。」

そう…あっちにいっても私は歓迎されない。

「ふざけるなよ…。×××。お前がいなかったらキミは学校にも入学しなかった。私だって晟とか希八に出会えなかったかもしれないんだぞ?」

「そうだよ。私がいなければ今まではなかったよね?
でも…これからは私がいなくてもつくっていけるんだよ?」
そう思ってしまう自分がくやしかった。

「本当にそう思ってるッスか?だとしたら本当の馬鹿ッス。」

私はカリンちゃんと小淵くんの方をむき柵に座る。
後ろに傾けば落ちて死ねる状態…。
「そう。質問して、人に答えを聞かないと進めない馬鹿なの。私。」

「アハハハハッ。分かってないッス!」

小淵くんは例のノートを広げる。最後のページのその次のページ…。
この前まではなかったのに…。
そこには今の距離でもみえるほど大きく書いてあった…。

「 」鐘をならせ!高らかに。
リンクスが鐘を持ってる。

私の名前が書いてあった…。

「キミはお前を信じてる。だからこのノートを残し、リンクスを残し、私達と一緒に見つけてくれることを待ってたんだ。」

…まだ必要とされている。…信じられている。
なら、私もキミを信じてあげたい。精一杯やってその気持ちに答えたい…。

キミに出会ったら、一番最初に彼の本当の名前を呼ぼう。

まだ死んじゃいけない…。

私はいつのまにか泣いていた…。
身体の力が抜ける…——。

死にたくなかったのに。 
まだ死にたくないと思ったのに…。

身体はいうことを聞いてはくれなかった…。

私は地球の引力にひかれ、静かに柵から滑り落ちた…。