ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.57 )
- 日時: 2010/04/01 20:26
- 名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)
【16】
「おい。×××。生きてるか?」
「……は、はい…何とか…」
屋上から落ちた私は、カリンちゃんの“才能”で中にとめられていた。
「まったく…最後の最後までハラハラさせないでほしいッス!寿命ちぢんだッス!」
「あはは…。ゴメン小淵くん…」
やっぱり死ぬのは怖い。キミはどういう気持ちで飛び降りたんだろう…。
ずるずると上へ上へと引っ張られる。
柵に頭がガツンとあたった。痛い…。
「スマン。×××…。」
「いや、平気…じゃないけど平気…。」
頭がくらくらする。
カリンちゃんと小淵くんが心配そうに見つめている。
これ以上心配をかけられない!
私は立ち上がった。
「あ、あれ?リンクスは?」
「あぁ。リンクスならそこに…」
カリンちゃんは鈴の音がするとこを指さす。
そこには—
そこには“鐘”があった。はじまりの鐘が。
きっとリンクスが持ってたんだろう。
「天吹さん!鐘鳴らすッス!!」
小淵くんがいう。カリンちゃんがうなずく。
私は鐘に近づいた。
「きゅー」リンクスが鳴く。
『ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン』
鐘が鳴る 高らかに
鐘の音を聞いたのは3ヶ月ぶり。
私はうれしかった。
最初に私が聞いたのは先輩に鳴らしてもらった時。
次はカリンちゃんを入学させた時。
そして今。キミに—みんなに会いに行くために鳴らす…。
カリンちゃんも小淵くんも聞き入っている…。
リンクスの目が赤くなる。
ぴょこぴょことさっき私が落ちた柵に駆けていく…。
「キュー!!」リンクスは鳴くと、そのまま落ちていった。
「リンクス!!」
小淵くんが柵から下をのぞく。
「…どうなってるんすか…」
そういわれ、カリンちゃんも駆け寄る。
「お、おい。×××。来い」
私は鐘を鳴らすのをやめ、2人に近づく。
下をのぞいた。まだ鐘の音が反響している。
さっきまで地面が見えていたそこには大きな穴が開いていた。
「入り口?」
私はつぶやく。
『ゴーン ゴーン ゴー…ン………』
鐘がやむ。
すると静かに穴は閉じた。
「閉じちゃったじゃないッスか!リンクスは!?」
「きっとキミのとこにいったんだ。つまりあっちへ」
「鐘が鳴ってる間、開くってこと?」
「そのようだ」
「そうッスね」
私の質問に2人同時に答える。
「なるほどな。どうする?今すぐ行くか?」
カリンちゃんが聞く。
「いや、未来様と加南去さん連れて行くッス!!呼んでくるッス!!」
そういうと小淵くんは階下に降りていった。
「あ、あのさぁ。楓さん。呼んでくる。いい?」
私はおそるおそるカリンちゃんに聞く。
「あぁ。行ってこい。はやく。」
カリンちゃんはにっこり微笑んでいった。
「うん!!」
私はうなずいた。
いそいで“例の喫茶店”に行かなきゃ!
もう少しでキミに、みんなにあえる。
私は階段を落ちるように走った。