ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.8 )
- 日時: 2010/03/28 20:36
- 名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)
【1】
今日から新学期。
冬に起こった事件で壊れた校舎を直すため、鈴々学園の新学期は夏になってしまった。
私は無事で、ただ3ヶ月間ものあいだ気を失っていただけだった。
誰が無事で、誰が“いなくなってしまった”のか全く知らされていない。
私の周りの人のうち、るきちゃん、希八ちゃん、麻の葉さん。そして彼がいなくなったと感じている。
私はまだ涼しい朝。1番の友達であるカリンちゃんの家に行った。
"ピンポーン" 家の奥にチャイムが響く。
カリンちゃんは1人暮らしだ。生活は白百合が保障するから別に学園の生徒のなかではおかしくない。
"ピンポーン" もう一度鳴らす。
返事はない。先に行ってしまったのだろうか?
2、3回遅刻しておいて行かれたことはある。
今日はまだそんな時間ではない。
どっちにしても、新学期早々おいてかれた…。
私はショックを受けてしまった。
いつの間にか彼が住んでいた小さな2階建ての店の前に来ていた—はずだった。
この前まで周りの高いビルに囲まれてひっそりと建っていた“彼の家”は跡形もなく消えていた。残っていたのは青々と茂った雑草が生えた空き地だった。
はい?…!!私は一瞬驚いたがすぐ納得した。
彼がいなくなって誰も使わなくなったため黒百合か白百合が壊したのだろう。
壊すことだけはどちらも速い。
そういえば彼の相棒でもあったあの黒兎はどうしたのだろう?目が青い変わった兎だった。彼はたまに赤くなるといっていたが…。
姿かたちは覚えているのに名前が浮かんでこない。
たくさん名前があったはずなのに…。
だんだん日が差してきた。今日も暑くなりそうだ。学校に行けばみんなもいるだろう。3年生だし、クラス替えだし、もう夏だし。やることはたくさんあるだろう。
「んじゃ、早いけど行きますか。」
私はそう口にだしていった。
学校にいるであろう私と親しい人達に期待して。