ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Strange Story   -奇妙なモノガタリ- ( No.1 )
日時: 2009/11/29 15:08
名前: 夜風 ◆2eHvEVJvT6 (ID: ikPsPKC4)

プロローグ



私、白石優希菜の周りでは奇妙なことが起こっています。

そう・・・、〝あれ〟を手に入れてから。
〝あれ〟を持ち始めてから、奇妙なことが起きるようになったのです。



始まりはあの日——。



私達の学年は京都に修学旅行に行っていました。




「優希菜ーっ、自由行動だよ! 一緒にまわろ」

親友の小毬が手を振りながら、駆けてきた。
小毬とはもともと一緒に回る約束をしていたのだ。
私は手短に返事をした。

「うん、いいよ」

私達は地図を広げ歩き始めた。
が、ピタリと止まった。
小毬が呟いた。


「・・・・・・正木君?」


同じクラスの橋本君が立っていたのだ。

「どうしたの? 橋本君」
「あ・・・俺も一緒に回っていいかな?」

顔は笑っていたが、友達はもう行ってしまったんだろう。
少しさびしそうだった。

「うん、いいよ・・・・・・小毬は?」
「平気! 1人はさびしいモンね」

小毬、それはキツイだろうと私は思ったが言わずにおいた。



自由時間も残り少なくなった頃、私達は変なお店を見つけた。

「魔除けの店・・・・・・?」

私は恐る恐る近づいた。

「何か陰気臭くない?!」
「でも、面白そうじゃないかな・・・・・・?」

とりあえず、入ってみることにした。



「いらっしゃい・・・」

おばあさんのしわがれた声が聞こえた。
その声に私は寒気を感じた。

ああ早く出たい・・・・・・この店、おかしい。


「あ! 見て優希菜、このブレスレット・・・パワーストーンじゃない?」
「白石、矢沢見ろよ! うわーっ、おもしれえ」

みんな、感じないのかな?
この・・・・・・〝寒気〟・・・。

結局、私だけ何も買わなかった。
しかし、店を出る前におばあさんに呼び止められた。

「お嬢さん、はいよ・・・・・・これもってお行き。金はいらないよ・・・・・・」

私の手に握られていたのは・・・〝黒い十字架のストラップ〟

「あ・・・りがとう・・・ございま・・・・・・す」

震えながら挨拶をいい店を後にした。




そう。

あれというのは——〝黒い十字架のストラップ〟なのです。