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Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.18 )
日時: 2009/12/01 20:24
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

ガタン ガタンと揺られながら流れていく景色を窓から見ていた。

  自分の家へ帰れるんだ。 
  でも、お母さんとお父さんには会えない。
  
  いや、会うことはできない。

  大切な家族を巻き込むわけにはいかない…

「 次の駅で降りる」祐樹にそういわれ、携帯画面を見た。

  新着メールと着信履歴は… ?

  あった。


  お母さんからじゃん…このまま放って置くか…

ためらいながらも舞はぎゅうぎゅうの鞄の中へと押し込んだ。
そして、電車が目的地へ着き大きく揺れた後にドアが開いた。


 「 こっから、うちまで歩いて少しだから皆はどっか別の場所にいて。」
  さすがに、家の中に連れて行けないしなぁ。


 「 舞、親に見つかったらどうすんだよ ?」

 「 なっ…今更言わないでよ ! 不安になるじゃん…。」
  そのときは…そのときで…。

 「 では、私達はこの駅周辺で待ってますから。お気をつけて。」
 恵梨は勇気付けるように言った。

 「 じゃあ、十分もあればいいから行って来るよ。」
  
 「 舞、気をつけてよー。」

  うん、とうなづき私は走り出した。

  どんどん駅からきこえる音が離れていった。

  

  私は、母、父に会うのが  怖かった。

  怒られるとかじゃないんだ。

  

  心配されて、優しくされたら

  みんなのところへ 帰りたくなくなるから。

  

  普段から感じていたんだ。
 
  ほかの子より、自分は愛されていると——

  

  でも

  それが怖かった。
  いつか、捨てられるのではないかと。
  いつか、呆れられて見放されてしまうかもしれない。

  急に、いつもあったものが 無くなってしまったら。

  私は、それが怖かった。


思いにふけっているところで、足を止めた。着いたのだ。

  「 …よし……。」

   

一呼吸して、ゆっくりと家の鍵を鍵穴に入れてまわす。

ガチャン と音がして 私は ドアノブをまわした。