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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: >>> ア ク セ ス >>>> ( No.29 )
- 日時: 2009/12/01 20:30
- 名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)
少年の震えた右手には参加者全員に送られた銃が握られていた。
「 …どうしよう。」
「 相手は中学生だぞ…殺せる勇気なんてあるわけないだろ。」
どうだろうか。
自分の人生と命がかかっているのだ。その位はやってしまえそうだと思う。
「 そのまま…そのまま手を挙げろ…。」
そのまま近くにいた同じ車両の乗客にもその少年は言った。
「…つり革につかまるんだ…。両手だぞ…早く……。」
私達も指示に従った。
少年はそのまま視線をはなさず、周りを見る。
「 よし…お前でいい。」
そう少年は言うと、いきなり恵梨の両腕を掴み、頭に銃口を突きつけた。
「 お前… ! !」
祐樹が驚きと怒りのこもった声で呟いたのが聞こえた。
「 いますぐ荷物を床に置いて。」
少年と一緒にいた一人の少女が淡々と言った。
その指示にしたがい、私と美希と祐樹、そして他の乗客も恐る恐る荷物を床に置いた。
あと少しで…次の駅に着く…そうすれば…
少年はそのまま銃口を恵梨に突きつけたままで、恵梨は顔を蒼白色に変えていた。
彼らは撃たない…いや、撃てないはず。
重苦しい空気が包み込み、次の駅の名前が聞こえた。
少年は焦った様子で仲間となにやら話している。今だ銃口は突きつけたままだ。
恵梨は口を〝逃げて〟と動かしている。
—————バンッ!!!
銃口の突きつけられた恵梨の頭の反対側から、血がスプレーのように噴出した。
大きく目を見開き、ゆっくりと床に倒れこむ。
少年は驚いた素振りで後ろへ後ずさった。
同時に銃は床へと落とされた。
祐樹が何か言っている。
美希は少年のほうへ駆けていく。
音の聞こえない テレビのように何にも聞こえなかった。
何も聞こえない。
何も———。
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