ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.54 )
日時: 2009/12/01 20:45
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

先ほどよりは大分、残りの参加者の減るスピードが遅くなった。

しかし、こうしている間にも違反者は逃げ回っているのだ。



  逃げるほうもそうだけど、見てるこっちまでヒヤヒヤしてくるよ


舞はベッタリと冷たい床に寝そべり、画面を横目で眺めた。
警察官のこと、違反者狩りのことも遠い過去のように思えてくる。

それもそのはず、明日、いや明後日あたりにゲームを終了させるからだ。
まさか、こんな事が企てられていたとは知りもしなかった。

そもそも、こんな危険で命知らずなことなんて考えないだろう。

  ダルシーらしくない。
  いや、
 
  ダルシーじゃない。

  ゲーム事態が、参加者全員を変えてしまった気がする。


変わって欲しくなかったものが変わり、新しいものが生まれる。

いつの時代にもそのようなことはある。






  もしかしたら、明日、明後日が私の命日———


 「 なぁ…聞いてる ? ていうか生きてる ?」

 「 …半分生きてるけど聞いてなかった、何 ?」

祐樹がため息混じりに画面を指差す。
舞はゆっくりと起き上がり、画面に浮かぶ文字が読めるぐらいまで近づいた。

 「 何々…ニュースの……今日……あ…」

 「 あ、じゃねぇよー。お前、捜索届けも出されて殺人容疑の手配も——」
 「 私だけじゃないもん…ていうか…警察、ゲーム調べたんだ…」

 「 そりゃあ…ここまで騒ぎになったらしょうがないだろ——」

〝ゲーム〟について、ネットでニュースとして大きく取り上げられていた。
サイトのページを開こうとしても、かなり動作が重い。

おそらく、サイトにアクセスしている者が大勢いるのだろう。

 「 …舞のせいで昼間に動きづらくなった」

ダルシーが窓のカーテンをピシャッと閉めながら、わざと大声で言う。

 「 これじゃあせいぜい夜位にしか動けませんねー」

  うっ…ここでそれを言うか…沙紀——

思わず渋い表情になる。
舞はどうにかこの空気をかえようと別の話題を出した。

 「 そういえばーダルシー、明日、明後日には仲間は集まるんだよね ?」

 「 うん。でも、明後日になる確率が高——」
 「 じゃあ、その間は、大人しくここで待ってるの ?」

ダルシーは考えるようにして俯いたが、顔をあげようとはしない。

  見殺しにするの—— ?


  今、この間も違反者は追われているっていうのに

  そもそも、違反者なんかじゃない…
  

  別の——いや、正義を貫いた善人————

 「 しょうがないだろ、だってお前以外の参加者も違反者も、指名手配だぞ ?
   参加者は殺人容疑で。
   違反者は関わったって事で探されてる。
   それも、顔写真が全員載っているんだから…見つけるのは簡単だろ…」

 「 あぁ…そっか……」


きっと、百七十人の参加者、違反者の画像がテレビやネットで流される。



 「 でも…だからって…」

              ピンポーン


                   ピンポーン


急に、玄関から音が聞こえて全員がギョッとする。

沙紀が小声で『見てくる』と言い、静かに玄関の方へと向かった。


  もしかして、さっきの変な警察官…


  いや、もしかしたらテレビ局が尾行して———

緊張がはしる中、玄関のドアが開き、すぐに閉まる音がした。

  

  —————もしかして

どたどたという足音と共に、満開の花のような笑顔の沙紀と知らない人がやって来た。

 「 一人目到着〜。おかえりー !」

  
  一人目到着って事は…仲間……

銃を片手に一丁ずつ持ち、荒い呼吸の男の子が部屋に入ってきた。

黒いダッフルコートに黒いズボンを穿いた子で、黒い髪の毛は一箇所だけはねている。

舞には全身真っ黒に見えた。

  なに…なんなのコイツ……誰か何か言ってよ