ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: >>>  ア   ク   セ   ス >>>> ( No.56 )
日時: 2009/12/01 20:46
名前: RADELLE03 ◆X6s/dtSC5A (ID: QYM4d7FG)

 「 何、最初から知ってるけど ?」
 「 じゃあ何で他の奴らには教えてくれなかったんだよ ! !」

舞のいる場所から遠く離れた使われなくなった巨大な倉庫の中に間崎の声が響く。

 「 あんたに言った所で、何が変わるの ?」

美希は目の片隅で間崎を冷たく睨み付ける。

 「 そっ……それは…」

ダルシーがBBRの仲間を離れたことで、美希だけが知っていたことに腹を立てた間崎は、怒鳴りつけていた。
しかし、間崎だけではなく、ダルシーと美希とBBR以外全員にそのことは知らされていなかったのだ。

誰もが不満を抱く中、倉庫の錆びた扉が開かれた。


入ってきたのは、ハナビと姪華だった。
二人の表情は怒りに満ちていた。 

美希は倉庫の奥のほうへと歩き出した。
 「 アンタッ ! 私たちを警察に売ろうとしたの ! ?」

美希は足を止め、ゆっくりと後ろを向く。
 「 別に。というより、捕まらなかっただけありがたいと思ったら ?」
 「 クッ……最低。…もし少しでも遅かったら、私達捕まってたんだよ ? !」

ツカツカと姪華は美希に歩み寄り、胸倉をつかんで揺さぶった。

 「 やめとけ、姪華」
 「 ………ザッキーまでそんなこというわけ ? はぁ…本当に———」

 「 危ない、怖いって思ってんなら仲間に入らなきゃよかったじゃない…」
 「 そんなこというわけ ? …ありえないんですけど…」
 
姪華はそのまま美希から視線をそらし、見知らぬ人物に向ける。

 「 何 ? あいつ…なんなの ?」

 「 貴方が警察に捕まったらと思って新しく二人仲間に入れたの」

姪華は信じられないというふうに首を振り、その二人を交互に見る。

 「 あたしの…代わり ? 何 ? 捕まること前提なわけ……」
 「 貴方の代わりなんかじゃ勿体無いほどの才能をもった二人だからね。
   右が詩音、左がスギクラ…」

ハナビは黙ったまま、ウロウロする姪華を目で追っていた。


姪華は立ち止まり、美希に冷たい目で見つめながら言った。



 『 こんな仲間といたくない、もう辞める』

そういって踵を返し、自分の入ってきたほうへと向かう。

 

 「 別にいいけど…このまま〝普通に〟返すわけにはいかないの…。
   …此処、警察にばらしそうだしね、貴方」

 「 ………何する気 ?」

美希は詩音に向かってOKのサインを出す。
急に動き出した詩音は、羽織っていた上着の内側から、ナイフと銃を取り出した。


少しずつ迫る詩音を姪華はただ睨み付ける。

 「 …どっちがいいですか ? 銃とナイフ。
   ……私的には、どっちも嫌ですが…」

 「 …何 ? 殺したくないの… ?」



姪華の問いに、詩音はうっすらと微笑をうかべた。





 「 貴方を殺す為だけに銃弾一発無駄にするなんて…
   …貴方を殺す為だけにナイフを汚さなきゃいけないなんて…


  嫌だなぁ…と思っただけです」




 「 馬鹿にしているの ? そもそも…殺すって…」

 「 そうそう…先ほど連行されそうになった貴方を助けたのは私です。感謝してください」


姪華は怒りに震え、今にもつかみ掛かりそうだった。


 「 ……どっちも私はい———」
 「 そうですか、〝どっちもいい〟んですね !」
 「 違——」

詩音は姪華の頭部目掛けてナイフを投げ、すぐさま銃を発砲する。

姪華は瞳を大きく開き、仰向けで倒れた。

その場はすぐに赤く染まる。


倒れた姪華に、尚も銃を胸元に何発か撃ち込む。
その瞬間、銃口をハナビに向け引き金を引いた。


そんな光景を間崎は息を呑んで見ていた。

仲間が仲間に撃たれる最期を。