ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 闇ニ舞ウ記憶ノ欠片 ( No.10 )
- 日時: 2009/12/04 12:11
- 名前: 黒翼 ◆ERZNJWqIeE (ID: 82QqnAtN)
- 参照: http://all-star5-knksk.cocolog-nifty.com/blog/
2冊目【鏡影ノ意】 1ページ目
——鏡……影……闇……醜態……この図書室や図書室そのものであるボク自身に
似ている……可哀想。通常の人間ならね。黒翼や君には、耐えられるかな?——
姿見——それはその名の通り、姿を映し出すもの。
では、自分の醜い姿を映し出す鏡があるならば?
——俺は触れてしまった。もう、戻れない。
『貴方ノ影ニ呪イヲカケマショウ……』
目覚めた俺の頭に深く刻まれた言葉。
昨日母さんの買ってきた姿見を見てから、身体の感覚がどうにもおかしい。
「俺の、影——」
俺は朝日に当たって出来た自分の影を見た。
特に変わったところはなく、普通の影である。
「気の所為か……」
俺はリビングに向かう。
その時だ。
——影は意思を持ち、不気味に微笑んだ——
俺はそれに気づけなかった。
ただちょっと立ちくらみがしたくらいで、いつもと変わらぬ朝を過ごした。
「行ってきます」
7時45分。俺は家を出た。
「————……」
「!?」
突然の囁くような笑い声に動揺してしまった。
“影”——
その存在が、俺を追い込む。
俺の身体が黒く染まっていく——否、影が俺、俺が影になっていく。
欲望の塊が、一気に俺の身体の中で溢れかえり、気持ちが悪くなる。
途端、俺は感情の操作が出来なくなる。
影の影となり、俺自身のコントロールが出来ない。
影として見ているだけ。
『影ニ支配サレルノハ御免ダ』
——違う!
影はお前だ!
そう強く思ったときに、影は力を弱めた。
「はぁっ……はぁっ……」
俺は、脱力してその場に座り込んでしまった。
腕時計を見ると、8時5分を指している。
こんなに長い時間、俺は影と闘っていた——精神力の闘い。
俺は、まず学校に行くべきだと思い、学校へ向かった。
しかし、歩いていても辛い。気持ちの悪さが晴れず、あの言葉も離れない。
『貴方ノ影ニ呪イヲカケマショウ』
〜NEXT:2ページ目〜