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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 絶望生活 ( No.8 )
- 日時: 2009/12/05 15:48
- 名前: †‡黒榊 麗弥‡† ◆O8ZJ72Luss (ID: SSNg/Zhu)
扉を開け直江さんがつぶやいた。確かに自信があるとしか思えない
口調であった。
「あくまで暗示です」
嘘っぽい言葉の後、直江さんは部屋から出ると同時に、
「…ふん!ロビーだからな!!」
と言って扉を叩き付けるように閉めて行ってしまった。
その後、すぐに俺の仕事仲間の真田志郎が上杉と名乗る男の
そばにかけよった。
「おいおい楓ぇ…。あんなに部長をキレさせて…大丈夫かよ?」
(楓?…やっぱり…この男は…俺?)
楓。優しく心配をかけてくれる真田からはっきりそう聞こえた。
(…という事はこの男は俺の…偽物?!)
「ああ。大丈夫さ。絶対戻ってみせる」
そう告げると男は部屋を出てロビーへと向かったのだった。
†
俺の行っている会社の一階にあるこの広い部屋、ロビー。普段は、
滅多に行く事がない(というか行かない)。行くとしたら、
帰りに通るだけの場所だった。
そこにある客用のソファーに直江さんは座っていた。さっきよりは
落ち着いているようだった。
「直江さん?来ましたよ」
気のせいだろうか?声を聞いたとたん、直江さんの顔が少し
引きつったように見えた。
「上杉…一体なんなんだよ。ちょっとそこ座れ」
(…よかった。話し方はいつもの直江さんだ…)
男は椅子に手をかけた。
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