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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 満月での願い事 ( No.3 )
- 日時: 2009/12/05 14:00
- 名前: 李矢 ◆D3MA0deLsg (ID: xYJBB/ey)
一話 満月と人間
飛んで飛んで扉の前へ。
始まる始まる世界の終わり——。
「……紅姫、と蒼姫です」
紅姫と蒼姫は、大きい扉の前に立っていた。紅姫は扉をノックして名前を言い、蒼姫はただその大きい扉を見上げていた。
「どちら様だぁい?」
扉が、きしむような音を出しながら開き、ピョコン、と顔を出しながら、言っているのは少年である。
少年は、茶色の無造作な髪に、黒と緑のボーダーのシャツ、そして腰には上着を結んでおり、その下には黄色のズボンを着用している。眼は、澄んだ緑色だ。見た目は人間だが、オーラが違う。
「紅姫、蒼姫とさっき言った」
「ああ、ぼくらの仲間か。悪いねぇ」
紅姫がいつものように無表情で言った。それに対して少年は、笑いながら言った。「悪い」と言ったのに、反省の態度は見えない。なぜなら足でボールを操っている。いや、遊んでいると言うべきか。それにイラついたのか、蒼姫が、
「ふざけないでよぉ? じゃないとその首落とす」
と言いサディストっぷりを見せて少年を怯えさせた。半分冗談、半分本気で。
「……早く中には」
「言われなくとも入る。だから早く開けて」
紅姫は、少年の言葉を遮り言った。勿論、無表情で。蒼姫はこの時、紅、ナイス! と心の中で言った。
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