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Re: 満月での願い事 ( No.4 )
日時: 2009/12/06 14:53
名前: 李矢 ◆D3MA0deLsg (ID: xYJBB/ey)

一話 満月と人間

 紅姫と蒼姫は少年に案内され、暗い廊下の上を歩いていた。しばらく歩くと、一つの部屋の扉の前に来た。そして、少年はその扉を開いた。
 部屋は真っ暗で、蝋燭が乗っている机と人が座っている椅子しか見えない。いや、座っている人物も、蝋燭の灯りの逆光で顔が見えない。蝋燭の炎が揺らいでいる。

「お待ちしていましたよ……」
「兄様、自分から迎えに行こうとは思わないわけ?」
「面倒なことはお前に全て任せるのでね、レオル」
「悪い性格だよねぇ。それより、他は?」
「そこのお二方の迎える会をするとか。お前も準備してくれ」

 兄様と呼ばれる人物は、少年に迎える会の準備をしてくるように言った。少年は、「了解したぁ」と言って渋々部屋の外に出た。
 
「次女に三女か……さて、私は誰でしょう」
「ユウリ・メイセイス。長男に位置している人」
「ご名答! さすがは紅蒼の姫君」

 ユウリと言う人物が、茶化すように言うと、

「挑発してるんなら心臓ぶっ刺すよ?」

と、蒼姫が右手で剣を取り出しユウリの心臓が位置する場所に剣を差し出した。本気だ。 

「まあまあ、落ち着きましょうよ。それに、剣で刺しただけで私が死ぬとは思いませんよ」
「……ユニークだね、意外と。弱点はあるんでしょ?」
「あるといったらありますね——」

蒼姫は、剣を鞘に収納し、質問をすると、ユウリは、曖昧な答えを出した。

「……ハッキリしない。イラつく」

紅姫はそう言った。