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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 掃除の時間 ( No.1 )
- 日時: 2009/12/05 14:15
- 名前: 屍鴉 (ID: iYyccJ4w)
第一話
世界は腐ってた。
反吐が出るようなものだった。
表面的な汚れも酷かったが
何よりもこの社会は酷い有り様で
ほうっておけばそのうち崩れてしまうくらいに腐っていた。
実際この東京も美しい都とはもう言えない。
そこら中人間で溢れ ゴミの臭いが漂い 曇天の空には鴉が徘徊していた。
誰しもが世界を変えるための力を持っていながら
自分が頑張ったって何も変わらないと言って逃げていた。
僕もその一人だった。
僕もその一人だったはずだった。
この世界に嫌気が差しながらも何もしないでいた
人間の一人だった。
はずだった。
きっと出来心だった。
今まで参加したことさえなかったボランティアに参加したのが悪かった。
後悔なんて無駄なだけだが
今僕が考えなければならないのは
どうやってこのボランティアから逃げるかと言う事だけ。
隣で震える彼女のためにも 死んで言った仲間達のためにも
残された僕の人生のためにも
僕は 死ねない
ブザーが鳴ってアナウンスが入る。
ーさぁ 皆さん掃除の時間です
ゴミは一つ残らず排除して下さい
汚れは全て消し去って下さい
では 掃除を開始しますー
震えながら彼女が聞く。
「どうしよ、、、」
僕は何も言わずに彼女をまた抱きしめた。
僕は 生きる。
世界なんて もうどうでもいい。
僕は
鴉のように醜い生き方になっても
最後まで生きる
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