ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第Ⅶ話 衝突 ( No.7 )
日時: 2009/12/05 17:29
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 激突する、二つの軍。
 ラファーロ軍の大半は自分の属性とは別に炎の魔法を使用し、リーアス軍の大半も同じように水の魔法を使う。
 炎と水。二つの魔法がぶつかり合い、はじける。
 少し離れた所で、マリンとハーディは二人の青年と対峙していた。

 「黒井……ケン。キラ=ライアーノ……」

 マリンがその名を呟いた。二人とも、噂に聞いたことがある。
 黒井ケン。他の人とは少し違う名前。その理由は……この星の人間ではないから。
 詳しいことは知らないが、大きな罪を犯し、この星に飛ばされたらしい。
 持ち歩いている電子機器を見ると、この星の物ではなく、噂は本当だったようだ。

 「こんにちは〜。リーアス国のプリンセス」

 キラが笑って言うと、マリンは再び口を開いた。

 「キラ=ラリアーノ。あなたも噂通りですね」

 マリンは少し笑みを返した。するとさっきからむずむずしていたケンが言った。

 「ごちゃごちゃうるさい。さっさと始めようぜ」

 ケンは、短剣を構えた。三人も各々の武器を構える。

 「さぁ、始まりだぜ」

 ケンが嬉しそうに宣言した。瞬間、その姿が消えた。

 「……!?」

 マリンとハーディは何が起こったのかわからなかった。今の今までここにいた人物が突然消えたのだから。
 そして、また突然に現れる。

 「へっ。遅いぜ」

 ケンの声がした時にはすでにマリンは後ろをとられていた。
 そして、ケンが手にした短剣で思いきり突く———!!
 しかし、そこは一国の姫。ぎりぎりでよけた。
 と思いきや、

 「……っ!!」

 ケンが腰につけていた鎖がいつの間にかその手にあり、マリンに触れた。
 叫び声をあげ、体中にびりびりと電撃が走る。

 「……はぁ……はぁ」

 電気ショックと同じことなのに、マリンはまだ立っている。王族はそんなにやわではない。
 一般の人よりも数倍回復力が早く、防御力も高い。

 「やっぱりこれくらいじゃ駄目か。ふっ、まだまだだぜぇぇえ!!」

 ケンは雄叫びをあげ、走る。キラはそれを見て言った。

 「じゃあ、僕もそろそろ始めようかな?」

 ハーディは大険を構えた。

 「えへへ。油断すると……死ぬよ?」

 キラは物騒な言葉とは裏腹に無邪気な笑顔を見せた。