ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 1. ( No.1 )
- 日時: 2009/12/24 17:23
- 名前: 六 ◆BbBCzwKYiA (ID: IJ2q7Vk/)
この部屋に、誰かがいる。
そう感じて、私は目覚めた。
_________そのひとは、黒かった。
それは、真っ白な背景に酷く不釣り合いな闇の色。
おそらくそれは、翼と呼ばれるモノで、
それを背中に生やして私の目の前にいるのは、天使、そう呼ばれるものだった。
1.
彼の事を語るには、まず私の事から話さなければならない。
私は、生まれて直ぐに「神の子」と言う名の生贄の役割を押し付けられた。
それは、生まれた場所で死を迎えられない、という意味で、
血を分けた親と共に生きる事が出来ない、と言う意味も含んでいた。
つまり私は、まだ何も考えられない頃から私の人生を勝手に決められたのである。
15歳の誕生日、私は姿を見たのも数える程しか無い育ての親に見たことも無いような真っ白な服を渡され、いつの間にか家の外にいた恐らく国の兵士であろう男達に馬に乗せられ、生贄が連れていかれる城_____真っ白な為、「空白の城」と呼ばれている_____に連れて来られた。
そして、色々な白い道や部屋を通り過ぎ、どこかも分からない真っ白な部屋に閉じ込められ、置き去りにされた。……成る程、生贄というのはこういう事か
何もない部屋で、飢えて餓死する。
神の子という生贄が何の神に捧げられた物なのか私は知らないが、
彼ら……つまり村の人間達が生贄を捧げる程崇めている、……もしくは恐れている物に生贄というのは何か得があるのだろうか?
そんな事をずっと考えている内に、何時の間にか瞼が重くなり、眠りについていた。
……………そして、冒頭に至る。
黒い翼をゆっくり羽ばたかせながら、見下すような目でその人はしばらく私を見ていたが、長い沈黙の後、やっと口を開いた。
「ハジメマシテ。俺は「冥界天使」。………お前は、この場所で死ぬ最後の生贄だ。」
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少し訂正してます。所々加筆してたり。