ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鉄球謎姫 ( No.7 )
日時: 2009/12/11 17:35
名前: 雪梨 ◆GniOoWrG2M (ID: 6.Riuk1k)

「……ぬしは、選ばれたんじゃ」

沈丁花、という変わった名前の少女は静かにそう言った。

「帰りたければ、最後の一人になる事じゃの」

「選ばれ……た? 私が? ……え?」

未だに頭が回転しない私。

「さっき、この世界に連れ込まれた事が、勝手に頭の中で思い浮かんだじゃろ? 少し、記憶に改造を施されているんよ。 だから、この世界にいる人間は誰かを殺しても何も感じない。罪を荷負わないんじゃ。……そして、元の世界に帰る方法は一つ」

急に、鋭い瞳で睨まれ、私は目線を逸らせなくなる。

「……何……?」

「さっきも言ったがの。この世界で最後に生き残った一人だけが、元の世界に帰れるのじゃ」

最後の、一人だけ……。

「……最後の一人になるまで、私は人を殺していかないといけないの……?」

「……変わった娘じゃ。この世界で殺す事に悲しみを持つとは。まぁ、その感情も、しばらくすれば薄れるだろうが」

沈丁花は、「はぁ……」と深い溜息を吐いた。

……人を殺す、別の世界……。