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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 鉄パイプと彼女 ( No.5 )
- 日時: 2009/12/17 22:22
- 名前: M (ID: nC4FdBJT)
第四話
「えーっと・・・・」
総一は頭をかきながら戸惑っている。
「つまりコイツらはお譲さんに用があるのか?」
「そう、みたい・・・・でも、誰?」
「そうか。あん時のお前はまだ赤ん坊だったからなぁ。覚えてねぇのも仕方ねぇ」
男は集団の一歩前に出て余裕の笑みを浮かべている。
「お前の母親、一之瀬和葉はどうやって死んだんだっけなぁ?」
「!!」
環の顔色が一変した。
「確か・・・銃殺だったっけかぁ?何度も何度も撃たれて・・・」
「なんでお前がその事を知っている!?」
「おい、お譲さん・・・?」
環は鉄パイプを握りしめる。
その様子を見て総一は唖然としていた。
「なんでってお前・・・俺がそいつを殺した張本人だからに決まってんだろぉ!?」
「!!!!!!」
ほんの一瞬だった。
環は男に鉄パイプを振りかざしていた。
しかし鉄パイプは総一の手によって上空で止められた。
「っ・・・!離して!あたしはっ、コイツを殴らないと・・・・殺さないとっ・・・!!!」
「それはダメだ!」
総一が叫ぶ。
男はこの事態を予想していたかのように後ずさる。
まだその顔には余裕が見られた。
「なんで怒るんだ?お前は確かにその場にいたが記憶はねぇだろ?」
「アンタのしたことはそれだけじゃない!!お母さんを殺した後、アンタはあたしの町を襲った!今だってまだ支配しているのに・・・」
環は総一の腕を振り払いもう一度鉄パイプを強く握りしめた。
「まぁ、今日はほんの挨拶だ。俺は帰るとするぜ。じゃあなぁ」
男は集団を引き連れ歩きだす。
「あぁ、言い忘れてた。俺の名前は、海だ」
そう言い残すと海はいなくなってしまった。
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