ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 逆転デキマスカ? ( No.2 )
日時: 2009/12/16 19:38
名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)

  1

 その教室は、騒がしく、楽しそうな声であふれていた——

「清水クンから、音楽室へお呼び出しでーす」
 不潔感極まりない女子がそう告げるのを合図に、周りの生徒たちもニヤけた顔を彼に向けた。
 一人一人見なくてもはっきりと解る。その目は明らかに歪んでいた。「目が死んでる」といっても過言ではない。
 そして言うまでもなく、彼自身の体は忙しなく震え、今にも泣きそうな目で自分を取り囲む者たちを睨んでいた。
 ——怖い。
 自らに誤魔化しの言葉を唱える。
 それはある種のジレンマとも言える行為だが、それを知るものこそ居らず、彼の心の中で“それ”は渦巻き続ける。
 ——俺は……目の前のヤツらが怖い。
(気持ち悪い)
 ——あいつらに何されるか解ったもんじゃない。
(殺す価値すらない)
 ——だから、だから、ここはヤツらの指示に従うんだ。だから……

 泣いちゃ——だめだ……