ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 逆転デキマスカ? ( No.4 )
日時: 2009/12/16 19:39
名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)

  3

 唐沢耀也はカッターナイフを突きつけられ嫌々音楽室に閉じ込められた。
 “ただ、それだけ”
 だから、“その程度のことでは誰もなんとも思わない”思う程の心を誰も持ち合わせていない。良心があるないも問題ですらなかった。
 もしも、もしもそれに理由があったのだとしたら、それは——
 ——彼が、唐沢耀也だから。
 ただ、それだけ。

 一日分の学業も終わり、帰りの学活の時間となった。
 最前列の席である耀也がいないことに気づいた教師は他の生徒に訊ねる。
「唐沢ぁ、アイツぁどうした? 早退でもしたのか?」
「センセー、あいつ音楽室でなんか泣いてました〜」
「ついでになんか変なことブツブツ言ってました〜」
「センセーの悪口言ってました〜」
 最後の前髪の長い少年が言い終わると、その教師は機嫌を損ねたように、
「そうか、後で殺しておかないとな。しかし“それだけ”か。それよりも生きとるのかぁ? 生死は問わぬと言っただろう?」
「すいません。クスクスクス……」
 物騒なことをいう教師に対し、前髪の長い少年は不気味な笑いを堪えながら手で口を覆う。
 そして、その教師は嬉しそうに言うのだ。
「そうか。——では今日皆に嬉しい知らせがある」

「アイツ——唐沢を退学に“する”ことに決めた————」