ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 逆転デキマスカ? ( No.5 )
日時: 2009/12/16 19:39
名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)

  4

「開かない……」
 少年——唐沢耀也は呟いた。ピアノもなければ防音効果のある訳でもない音楽室と称されただけの部屋で。
 そして、自分の呟いたセリフに苦笑いを浮かべる。
 ——開かなじゃなくて、“開けない”んだな。
 しかし、その扉は否応ぶち抜く以外の方法で開けられるような状態ではなかった。
 なぜなら、内側についているであろう、つまみの部分が外れているのだ。まるで強引にペンチで破壊したように千切れたつまみの部分が歪に曲がっている。
 だが、決して脱出できない状態ではなかった。
 簡単な事だ。
 扉が閉まっているのなら窓を開けて出ればいい。ベランダこそないが、音楽室は四階の高さにあるのだ。飛び降りたくらいで“即死”には至らないだろう、彼——耀也は迷うことなく飛び降りた——