ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 黒 い 空 -Brack Sky- 【ちょいグロ注意!】 ( No.3 )
日時: 2009/12/17 19:29
名前: 黒葵 ◆PZGoP0V9Oo (ID: 34QCmT3k)

 その日、私は平日だというのに大学へも行かず、アパートの一室でごろごろしていた。

 手には隣室のアヤメさんから借りた古文書。

 古ぼけて、字さえもほぼ見えないその本を、光の差し込む明るい一室でただ眺めていた。

 「これ何て書いてあるんだよ・・ったく」

 もうそれもいい加減飽きてきて空を仰いだ時、彼はやって来た。


 「おひさーん!綾依たん元気にしてたかーい?」

 全身はスラッとして華奢。
 その細いからだはオーダーメイドの黒スーツ・・・を自分でリメイクしたらしい(私にはボロ切れにしか見えないが)ものを着ている。
 少し銀が混じった、細い髪に包まれたその顔は、白く、うっとりするほど綺麗だった。
 女らしいわけではない。
 でも、どこか惹かれるものがあった。

 「舞崎さん・・・何の用で」

 「だーかーら俺を名字で呼ぶなって。それよりお前に頼みがあんだ。」

 そういうと彼(どうも舞崎さんと言ってしまいそうなので彼といっておこう)はスーツの内ポケットをごそごそし始めた。

 ごそごそ・・しながら、だんだん私に近づいてくる。
 しまった。こういうパターンで私が騙されて無理矢理事件に巻き込まれるのは、多く経験してるじゃないか。畜生、顔の良さを羨ましがってる場合じゃなかった。

 「あっ・・私お母さんにネギ買ってこいって言われてるんだった!」

 「待て待て。さっきお前の母さんがネギ買いに出て行ってたぞ。それよかさぁ・・・」

 その顔、見る者全てを魅了する笑みを浮かべて。

 私にぐっと近づき、肩に手をまわして。

 「少し・・・」

 私の腹部に、手に丁度収まるくらいのマシンガンを突きつけ。

 「眠っててもらおうか」




  爆発音。



  言われるまでもなく、私は深い眠りの底へ落ちた。