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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Psychotisca-サイコティスカ-オリキャラ募集中! ( No.14 )
- 日時: 2009/12/29 23:56
- 名前: 冬宮準 (ID: f0LIvz7Q)
§Piece:2 Warm place§
「たっだいま〜!」
メアは茶色い木のドアを大きく開けると共に、元気よく言った。そこはカージュの隅にある酒屋、「ヘイジーブルー」。そこに客はまだいなかった。恐らく昼ごろに忙しくなってくるだろう。しかし「客」ではないが「仲間」ならいた。メアの、サイコパスとしての、暖かな仲間。
「お、帰ってきた。メア、また悪いことしてないよな?」
黒髪の少年が、モップで床を拭きながらカウンターの椅子に腰掛けたメアに質問する。彼の紺色の瞳には「疑」という文字が移っているように思えた。メアは「ふふん」と微かに悪戯っぽく笑って、椅子をクルクルと回した。恐らくそれが彼女の少年に対する答えなのだろう。「はい、やりました。」口に出さなくても少年にはわかった。彼はそれをすばやく察知すると、呆れた顔で仕事を続けた。
「むー、レイヤ、そんな顔しなくてもいいじゃーん」
メアは頬を膨らます。レイヤと呼ばれた少年は、軽く苦笑いをして黙っていた。そんな彼に腹が立ってきたのか、彼女は隣の席に座っている、金髪の長い髪を持つ少女の肩をポンと叩いた。
「ねー、ティティも、レイヤがあんな顔してたら嫌だよねー?」
ティティと呼ばれた金髪の少女は、栗色の瞳をメアに移すと、肩に乗ったメアの手を払った。そして、また窓の外へ視線を戻す。それはまるで動作によって伝えられる文字だった。全てを並べて、「とうでもいい」。ティティの相変わらず死んだ目は、そう語っていた。
「おいおい、メア、ティティは『感情乏少症』なんだから、寂しくて寒い感情以外は何も抱かないんだぞ」
「そぉだけどさあ…」
メアはまた頬を膨らませ、椅子から降りた。そして時計の針に目をやり、小さくつぶやいた。
「リエリィさん、遅いね…」
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