ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Psychotisca-サイコティスカ- ( No.38 )
- 日時: 2009/12/30 18:40
- 名前: 冬宮準 (ID: SLr1s4QH)
Piece:4 Dirigerの続き↓
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「ここか。俺の出番は…」
と、大人しくユトラスの活躍ぶりを見張っていたクリードは言った。そして、手の中にあるシャーペンを数回ノックする。中からは針のような芯が顔を覗かせた。それは誇らしげにピカピカ光っていた。クリードがシャーペンを空高くに放り投げる。シャーペンはロケットの様に飛んでいき、空中で向きを変えると、下に降りていった。クリードは待っていました、というように手を構え、目の前に落ちて来たシャーペンをパシンッ、とメアの方向に叩いた。まるでクリードとシャーペンの主従関係のような、見事は筆記用具さばき。シャーペンはメア目掛けて猛スピードで
突っ走っていく。そして…
グサッ。
シャーペンが、ただのコンビニで入手できてしまいそうなシャーペンが、刺さった、メアの右肩に。メアは驚きに言葉をなくしている。「痛み」よりも「驚き」のほうが遥かに勝っていた。クリードは満足したように笑むと、ミズルに言った。
「さぁ、思う存分楽しんで来い」
ミズルはふふん、と笑うと、高いヒールを鳴らしてメアのほうへと歩いていった。メアは後から襲ってきた痛みに耐えながらも、懸命にシャーペンを抜こうとしていた。しかしそれはかなり深く刺さっているのだろう、なかなか抜くことが出来ない。とうとう彼女はしゃがみこんだ。その情景を、ティティは相変わらずの無表情で見つめていた。ミズルはメアの前で立ち止まり、しゃがみこんだ。顔をメアの顔の近くに寄せつつ、肩のシャーペンを握った。
ズブッ。
ミズルがシャーペンを勢いよく引き抜く。メアは小さなうめき声をあげた。そんなメアにも関わらず、ミズルは小さな少女の肩を紅く染める血を、ぺろり、と静かに舐めた。
「………吸血鬼…?」
ティティが小さく呟いた。
(またまた保留。)