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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 歪んだアリスと壊れた世界 ( No.1 )
- 日時: 2009/12/27 19:03
- 名前: 柊 ◆p4Tyoe2BOE (ID: PgwOaOcY)
全てが虚空に消えて残ったのは、抜け殻。
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「——い、——きろ、起きろってばこの引きこもり」
僕は面白くも何ともない人間です。
「おい、聞いてるのか凪」
「……うきゅ……」
毎日毎日何の夢も目標も見いだせぬままにただただ時間は過ぎて行きます。
「うぬーうるさいんだよぅ……」
「うるさいじゃない。今日は定期検査の日だろう。早く起きろ」
僕の目の前にいる布団にくるまっている少女も同じ。
何処かで壊れた。何処かで狂った。何処かで歪んだ。何処かで崩れた。何処かで捩れた。何処かで曲がった。そう全て狂っている。世界も、僕も、彼女も、全て。
「凪」
「うぬぬ……わかった、わかったからそんなに騒がないでよぅ……」
今まで布団にくるまっていた少女がむくりと起きあがった。
布団からもぞもぞと這い出た少女は側に立っていた僕のお腹あたりに抱きついてきた。
「えへへーこーちゃん、好き」
僕にしがみついてきた少女の名は凪という。
僕は凪の頭を撫でながら言葉を返した。
「ああ、僕も好きだよ、凪」
世界は壊れています。狂っています。
僕等はただただそんな世界でひっそりと生きている。もしかしたら生きているとも言えないかもしれない。
けれど僕等にとって此処は、理想郷なのだ。
理想郷であり、常世であり、僕等の帰る場所。
「こーちゃん、ずっと僕と一緒に居てくれる?」
ここに凪が居る限り。
僕の存在価値が言える限り。
「ああ。ずっと一緒だよ、凪——」
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