ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 歪んだアリスと壊れた世界 ( No.10 )
日時: 2009/12/30 19:03
名前: 柊 ◆p4Tyoe2BOE (ID: PgwOaOcY)

「ふむ……皿……皿は何処だ……」

 とりあえずやたらと霜降りの肉と新鮮さ丸出しのような野菜を使って野菜炒めを作った。
 こらそこ。普通って言うな。と、文句を言う前に皿が見つからない。
 凪の家には棚という物が存在しない。全て物は床に転がっていたり(先ほどの炊飯器良い例だ)、積み上げてあったりする。
 その為に、僕は凪の家で何か捜し物をする際はいつもあたりを付けていくつもの山を崩すしかないのだった。

「お、これか……」

 とりあえず出来たてほかほかの野菜炒めはコンロの上にフライパンのまま放置して、おそらく皿が入っているであろう箱のような物を掘り出した。
 四角い箱の蓋を開けると、これまた新品だろうか。割れないように包装された皿が四枚ほど入っていた。
 そのうちの三枚を取り出して、一枚に野菜炒めを、残りの二枚にはご飯を盛って凪の居るところに戻る。
 と言うかご飯の炊きあがりが異様に早かった。まさか最新か。

「おーい凪ーテーブルあるかー?」

 三枚の皿を乗せたお盆を片手で持ちながらあたりを探ってみる。

「うお? てーぶる? ……テーブルかー。その辺に埋まってると思うおー」
「埋まってるのか……」

 小さくため息を吐いて、広げてある毛布のような物を払いのけてみると見事テーブル発見。

「たいちょーテーブル発見しましたー」

 棒読みで凪を呼ぶと、凪はキーボードを凄い勢いで操作してパソコンをシャットダウンさせたのか、ぴょこりと立ち上がると僕の元にとてとてと歩いてくる。

「ふおー。ご飯だっ」

 そうだった。今思い出した。何か忘れていたと思ったら……凪は食欲には無関心だった。だから誰かが用意しない限り、凪の脳内に食事をするという行動は浮かばないわけだ。
 しかし食欲には無関心の癖に食材にはうるさい。なんて我が侭なんだ……
 まあ、これが冷蔵庫の中身が高級な物であふれていた理由である。
 それが実現できる理由は……凪の身分にあるのだが、それはまあまた今度の話。




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