ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 歪んだアリスと壊れた世界 [02(途)までup] ( No.23 )
- 日時: 2010/01/05 19:54
- 名前: 柊 ◆p4Tyoe2BOE (ID: PgwOaOcY)
凪の家を出た僕は川沿いの道を選び、自分の家に向かっていた。
まあ、家と言ってもほとんど家具も置いていないし生活もしていない。ただ寝るための場所。
「ふわぁ、ぁ……」
欠伸をしながら空を見上げると、丁度見上げた正面に三日月が浮かんでいた。
「凪は満月が好きなんだっけ……」
そこまで急いで帰る必要もないか……と僕は思い、のんびりと河原に降りて腰を下ろした。
ゆっくりと流れる川に月が映り込み綺麗だな……と僕らしくない事を思っていた矢先だった。
ぼんやりとしていた僕はふと周りが少し暗いことに気付いた。
「……なん……うわ」
何か僕の後ろにあるのかと、ゆったりとした動きで振り返ると目の前には二本の棒……ではなく足。
「ん? ああ、ごめんなにぃちゃん。話聞こぉ思うたらいきなり振り向きよるから」
棒がしゃべった! なんて事は勿論無く、声の主はどうやら僕の真後ろ、しかも当たるぐらいすぐ側に立っていたらしい。
「にぃちゃん、うちの声聞こえとる?」
声の主——ナイスバディの女性は僕の目の前で手を振って聞いてきた。
「ああ、はい。聞こえていますよ」
僕は立ち上がって座ったときに付いた切れた葉っぱや埃を払って女性を真っ正面から見た。
「おうおうよかったよかった。そいでや、にぃちゃん聞きたいことが——」
「あなたはどちら様です?」
女性の言葉を遮って聞いた。
そりゃ今時、河原で座っていたらぶつかるくらいすぐ後ろに人が立っていた、なんて事があったら警戒する。
まあそれは良いとしても、すぐ後ろに近づいてきていたのに気配が全く感じられなかった、と言う辺りが問題だ。
僕は警戒しつつ、女性をまじまじと見つめた。
一番最初に目に付いたのは黒だった。女性は上下とも真っ黒な服を着こなしていた。黒といえども喪服と言ったたぐいではない。
上はスーツのような形で、下はスカート。今時の若い娘が着るようなミニ。惜しげもなく晒されている足はとても美しく長い。
それから、僕より高い位置に立っている女性はとても身長が高く思える。
「どうしたんや? にぃちゃん。さっきからうちの事まじまじと見て」
僕のしつこいくらいの視線にきょとんとして聞いてきた。
言葉は……関西弁だろうか。此処では聞き馴染みのないしゃべり方をする。
「ああ、そう言えばうちが誰か——やったっけ?」
「そうですよ。いきなりぶつかるくらい近くにいたと思えば一方的にまくし立てて」
僕は無表情で返答した。
女性は笑顔を浮かべて答えた。笑顔と言っても、目はぜんぜん笑っていなかったのだが。
「うちの名前は昏中藍羽。まあ、かるぅく請負人やっとります」