ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 歪んだアリスと壊れた世界 ( No.4 )
日時: 2009/12/30 17:44
名前: 柊 ◆p4Tyoe2BOE (ID: PgwOaOcY)

 僕は死んでるんでしょうか。生きているんでしょうか。

「……何にしよう」

 場面は一転。僕は台所に立ちつくしていた。
 何故か? そりゃ料理する以外何がある。
 僕は凪のために昼ご飯でも作るか、と重い腰を上げて台所に来たわけなんだが……

「……使うのをためらってしまう材料だ……」

 冷蔵庫を開けた時点で僕の料理を作るかという意志は小さくしぼんでしまった。
 大きな業務用のような冷蔵庫の中にはとても美味しそうな霜降りの肉や取れたて新鮮のような野菜がたくさん鎮座していた。なんというか、キラキラしている。
 料理をする、食べる以前に僕みたいなのが触ってしまっても良いんだろうか……

「これは……僕が使ってはいけない気がするぞ……」

 とりあえず悩みに悩んだあげく、僕は一度冷蔵庫のドアを締めて未だパソコンを弄っている凪の所に戻った。

「おーい凪ー」
「うぬ? こーちゃんどーしたのー」

 凪は指を忙しげにキーボードに走らせながら、振り返らずに言った。

「冷蔵庫の中身なんだけどさ——」
「あー僕そこ無関係だからさぁーふぁあ……んあーだからぁ好きに使っちゃって良いよぅ」

 僕が最後まで言い終わる前に、凪は指をキーボードから下ろすと振り向いて軽く欠伸をしながら答えた。
 ここにある物の決定権は全て凪にあると言っても良いだろう。

「……そうか」

 その本人が良いと言ったのだから、良い、んだよな……と自分を無理矢理納得させつつも台所に帰る僕。
 凪の許可を得た僕は台所に戻った後、再び冷蔵庫を開けた。
 使う許可は貰ったものの、これだけの材料だ。どのような料理を作る物か、しばし考える。
 結局、冷蔵庫の側に転がしてあった(いや、普通は転がしていたらダメだと思うのだが)炊飯器にといだ米を入れてスイッチを入れ(正直まともに使えると思っていなかった。しかし新品なのが気になる)本格的に料理を始めることにした。