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　僕は家にたどり着くとさっさと鍵を開けて中に入った。
　凄くぼろいアパートで、一部屋の自分の部屋に置いてあるのは小さいちゃぶ台のみだ。言っておくと布団もない。
　寝るだけの場所として借りたアパートだから、起きている間はほとんど凪の家にいる僕にとってはぜんぜん問題ない。

「……寝ます」

　カーテンの隙間から漏れる光に目を細めながら僕は一人呟いた。
　ごろりと畳の上に寝転がると目を閉じた。
　僕の脳裏に最後に浮かんできたのは、あの人のことだった。